前回の「全ての道はギリシャに続く」ではフランチーニ社製のヨットの船体検査が無事終了して、最終価格交渉を進めるっていうところまでお話しましたよね。（全ての道はギリシャに続く⑥はこちら）
3月9日（月）の夜中ほぼ10日の朝なんですけど、無事最終価格交渉が成立して売買契約を結ぶことができました。ついに念願のヨットを獲得できたのです！！！！
ということで、11日火曜日の夜は主人の母も伴って3人でお祝いディナーに出かけました。直ぐ近くに石焼ステーキのお店があって、私も主人も義母も大好物なので、お祝いにはもってこい！こんなにでっかいステーキが日本では考えられないぐらいのお値段で味わえます。（これで3000円行くか行かないかのセット。今円高ですし。）湖が見えるとっても雰囲気のいいお店です。
そして先週ギリシア領事館で長期滞在ビザを申請してきましたが、こちらも無事審査終了。来週半ばにまたシドニー市内に出かけパスポートを引き取りに行きます。
これまで本当に紆余曲折があって、一時は「理想のヨットなんてないんじゃないの？」ってあきらめそうになったこともありました。前のヨットの時は、一発で交渉成立で船体検査もすんなり通って、とってもスムーズに事が運んでいたのとは大違い。地中海のヨットは事故率が高いっていうのも、今回初めて知りました。多分ヨーロッパのお金持ちが気軽にヨットを乗り回しているので、注意散漫なオーナーさんが多いんでしょうね。
でも、ついにゲットした念願のフランチーニ社のTAYANAというモデルは実は28年ものですが、船体自体はこれまで見てきた船のどれよりも頑丈でしっかりしているんですね。もう製造されていないので、マニアの間では非常に人気な船なのです。28年前に作られたとは思えないぐらいおしゃれな外装も気に入っています。
この船は実を言うと、本当に本当に一番最初に目を付けたヨット。でもその後、年代が新しい船の表面的なかっこ良さや、すでにいろいろ設備投資されているのであまり手を加える必要がないという手軽さに目がくらみ、真剣には考えなかったんですね。こうしていろいろ回り道をしたけれど、結局スタート地点に戻ったわけです。なんだか運命を感じます！
年代物ヨットの素晴らしさはなんといっても内装。本格的なティーク素材でまるで一軒家の風格。新しいタイプのヨットの内装も素敵ですがべニアで木目を出しているものが多く、やはり重厚さには欠けるのです。さらにイタリアの家具職人の技術があちこちにほどこされていて、実際に見ている主人によると「本当にきれいだったよ。絶対気に入るよ。」とのことでした。ソファーはなんとレザー。しかもホワイト！カバーをかぶせないともったいなくて座れません！
私が特に気に入っているのはコの字型のキッチン。一見狭くて使いずらいように見えますが本格的にセーリングを楽しむためにはこの方が実用的なのです。以前のヨット「ブルールーン」は現代的なスポーティーなヨットなので、キッチンが船体に沿って横長だったんですね。普通のお家みたいに余裕がある大きなキッチンでしたが、これは食事の準備を目的地について碇をおろしてから、ゆっくりスタートするために適しているデザインなんです。つまり長距離走行をしない前提の作り。でも私たちは丸い一日走行し続けることは常だったし、数日間連続っていうのも珍しくなかったので、セーリングしながら私は食事の支度をしていたんです。ヨットはほとんどの場合右か左に傾いて動いていきます。よほど真後ろから風が吹いてこない限り、ヒールといって傾くのが当たり前。そうすると進行方向に向かって片側に平行になっているキッチンは、傾きがキッチン側ならそこで体を支えて料理ができますが、反対側に傾いてるときは、片手でキッチン上のハンドルにつかまり、片手でフライパンを動かす・・・・という非常に面倒な姿勢で料理をしないと行けなかったんです。だから、ただでさえ動いている中で料理をするのは危険だし大変なので、男性ばかりのクルーだとちゃんと料理をせず、缶詰を開けるだけっていう食事が多いんですよ。でも、うちは主人が結構グルメで食べることが大好きだから、船上でも普通の食事をしていました。長距離走行だったりすると、出発前にカレーやロースト料理を仕込んでで置き、目的地に着くころに出来上がっている・・・なんて感じにしていました。ちなみいガスコンロの部分は振り子になっているので、どっちに傾いても常に平行に保つようになっているのです。
で、前置きが長くなりましたが、こんな風にコの字になっていると、常に進行方向を向きながら立っていられるし、体を支える部分があるので、走行中でも料理がしやすいんですよね。28年前はまだまだ、ヨットというのは注文製造の時代だったので、そうまでしてヨットを買う方は、ある程度本格的にセーリングを学び、長距離走行を目指す方が多かったと思います。だから、船内のあちこちがとても実用的なつくりになっているんです。
例えば、この船体後方の２つのベッドルーム。両方とも、こんな風に2段ベッドみたいになっています。クルーが何人かいてもいいように同じスペースで3人寝られるようになっているわけです。でもこの部分、棚としても使えるので、ここが結果的には私のクラフト収納スペースとなる予定！
メインベッドルームは船の前方にありますよ。クィーンサイズのでっかいベッドの周りには収納棚が沢山あります。他にも至るところに収納スペースがあって、本当に効率的で無駄な部分が全くないのが船の内装です。
ご存知の通りイタリアは今、ヨーロッパではC関係のニュースで一番ホットな場所。私たちがギリシャに着くころにはいったいどうなっているのか全く想像がつきませんが、当面は修理したりアップグレードすべき場所が沢山あるので、早速イタリアで工事をスタートしてもらっています。だから引き取りに行ける頃には、修理も終わりC関係も収束して丁度いいぐらいになっているといいなぁって思います。でも、もう焦る必要はないので、一旦ギリシア入りしたら、荷物の配達をまったりするために1カ月ほどはアテネ郊外に小さなアパートを借りることにしました。その先のことは、そこからまたゆっくり考えるつもりです。いずれにしても、ようやく念願のヨットを獲得できて本当に大きな安堵感でいっぱいです。
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