ウィンチが完璧に直ってからの初セーリング、予想外にハイパフォーマンスのSATOMI号に大満足した昼間に変わって、その日の夜はまたひやひや事件発生。夜明けまで眠れませんでした!
出発できることがうれしくて、朝6時半に起きてしまいました!7時には出航準備をスタートさせていたら、2週間前に初めてNidriに来た時バースを手伝ってくれたドイツ人のご夫妻が
出てきました。彼らは昨日Nidriに戻ってきていて、今日遊びにくるお友達を空港まで迎えに行くとのこと。私たちも彼らもまた来週Nidriに戻るので再開できることを祈って、見送っていただきました。
まだ波もたたない穏やかさ。
お天気は最高で、風も強くないし波もたたず。こんな穏やかなセーリングはオーストラリアにいた時はめったにありませんでした。もっとも海自体が太平洋に面してたりインド洋だったり南極海だったりするから、島とか陸に囲まれているこことは地形が違いまけどね。
気持ちよくセーリングできたことも嬉しかったですが、それよりも10倍嬉しかったのは予想外に高パフォーマンスを見せたSATOMI号です。ヨットって前方から吹いてくる風には弱く、セールに風があたりませんからスピードが出ません。以前のBlue Loon号はモダンなスポーツタイプのヨットでしたが、前方からだと角度が最低60度を超えたり、風の強さが15ノットぐらいを超えないとまともなスピードが出なかったので、移動距離を考えるとどうしてもエンジンを付けて走らざるを得なかったのです。でもSATOMI号はなんと、前方30度ちょっとで、7ノットの微風にもかかわらず、ヨットのスピードが5ノットも出た!!!!だいたい風のスピードの半分出ればいいとこだと思いますが、それ以上ってすごすぎなんです。レースをするタイプのヨットとは違い、まるで家が一軒乗っかっている感じのSATOMI号、20トンの重量があります。前のヨットはその半分以下の9トンなのに、こんな微風で今スピード出たためしがありません。主人と二人で、「この船を選んで本当に良かったねぇ。微風でもこれだけ出たら長距離移動でもほとんどセール走行で十分いけるね。」と感激しきりでした。
走行中に取ったショート動画です!
4ノットって、自転車より遅いぐらいですが、こんな微風だったらまあまあです。だいたい平均6ノットだったら大満足のスピードですから。
走りながらオーストラリアにいるお母さんに電話をする主人。
うんなかなかきれいな場所
でも思ったよりも狭いなぁ。結構岸に近い場所まで深さがあるので、碇をおろしてもあんなふうに後ろはラインで岸に生えている木につなげて固定するのが地中海式だそうです。でも私たちはまだそのつなげ用のラインを持っていないし、(沈んじゃうん普通のラインではなく浮くタイプのを探しておるのです。)実際にやっている場面をまだ見たことがないので、取り合えず深さもまあまあで、チェーンの長さと碇を中心にあらゆる方向に回転しても浅瀬に乗り上げたりしない場所に碇をおろしました。
落ち着いてからディナー。お昼ご飯を食べてなかったので早めの夕食。テーキに、マッシュポテトとグリーンピース。ガーリックは沢山あるからモリモリにしておきました!
夕食後にお肉の筋の部分を魚にあげると・・・集まってくる集まってくる!
面白くなって、硬くなってきたパンもあげました。
この日は本当に熱くて(予報では30度)しかもここは三方をぐるりと囲まれているので風通しがあまりよくないのです。いつもは夕方になると船内の方が涼しいので夕食後にはすぐ中にはいっちゃうんですが、この日は外の方が涼しかったのでいつもより長めにデッキでくつろいでいたところ・・・
私たちの後ろに見えるキャタマランが入ってきました。
この湾はちっこいので、碇をおろして安全にスウイングできる距離を考えると、せいぜいあと1隻ぐらいの隙間しかありません。もう少し深い所ならまだ数隻いけるんですけどね。それで、最初このキャタマランは、私たちが碇をおろした場所(チャートプロッタ―上で印をつけております。)とかなり近い場所に碇をおろし始めました。岸につなげているヨットと私たちがスウイングして移動した場所の真ん中あたりに止まったのです。これはちょっと問題。というのは、私たちがさっきまでいた位置にキャタマランがいるってことは、またスウィングしてその位置に戻ったら接触しちゃう危険が大。昼間なら常にモニターしておけばいいけれど、これから夜になっていく場合は、それはかなりなギャンブル。そこで主人が「私たちの碇がその辺りがあるし、チェーンの長さが40メートルあるから、接触の危険があるから移動してくれませんか。」と声をかけました。このキャタマランはレンタルヨットらしく、一人は多少経験があるみたいで「わかりました移動します。」って言ったんですが、2回目におろした場所もほとんど変わらない場所におろしているんですねぇ。あれ~??全然理解していない?!英語があまりわからなかったのかしら?
そこで、再度「その位置ではなく、私たちと反対側の岸の間ぐらいがベストです。キャタマランだったらもっと浅い方にもいけるでしょ。ヨットは碇を中心にウィングするんですよ。」というと、乗っているのは若い男性ばかりが数人らしく、中に短気な人がいたみたいで、挑戦的な口調で「だったらこっちのヨットに移動してきておまえがやれよ!」と叫んできたんです。あ~これで決定的。この人たち全くの初心者。もしかしたら初めての経験かも。かなり挑戦的な口調だったので私はムカついていたんですが、主人は冷静に「いや、私はやりませんよ。でもぶつからないようにするためには、それしかありません。あの位置が一番いいと思うからそちらに移動してください。」と示しながら再度言いました。アンカーのボタンを持っている人が英語がよくわかったのか、または常識がある人だったのか・・・「はい、そうします。」と最終的に移動してくれたんですね。そして落ち着いた位置が、あそこ。
夕暮れみたいですが、すでに夜の9時を過ぎています。この1時間ぐらい前まで、2隻ぐらいが湾に入ってきたのですが、もう余裕がないとわかったのか、すぐに出ていきました。
移動してもらって、本当に良かった!と翌日思った事がこの夜起こりました。
というのは、午後10時すぎ、ベットに入って30分ぐらいしたら「ゴー」っと彼方から音がしたのです。そして「ウィーン」というこれまたかすかですが風力発電機が回る音。私はとても耳がいいので小さい音にも敏感なんですね。主人に「風が出てきたよ。」というと最初は信じていなかったのですが、船体に感じるようになってきたので、外に出ていきました。そこからしばらく外にいたんですが、風自体はそれほど強くなくてせいぜい10ノットなんですが、波が湾の入り口からドット入り込んできて上下に揺れるようになりました。それ自体も、風の強さも通常なら全く気にしない程度なのですが、今回は、かなり狭い湾内にいること、そしてぎりぎり大丈夫な程度な距離にキャタマランがいること、がやばい状況を発生させる危険因子なのです。
案の定、チェーンが伸びておまけにスウィングした方向が岩場の岸側に近くなってきました。安全チェックのために予め碇をおろしたい場所を中心にぐるりと円を描くように回っておきその軌跡がチャートプロッタ―に残っているんですが、その円周よりもちょこっとはみ出た位置に、チェーンが伸びてスウィングしておりました。深さ的には問題ありませんが、チェーンが伸びた結果、キャタマランにもさらに近づきました。
アンカーが流れてないことを確認するためにアンカーアラームを設定していますが、主人はデッキでしばらく様子を見ることに・・・この間も風はおさまらず、時折さらに突風となっていきました。これ、こういう囲まれた狭い碇泊地ではよくあることなんですけど、風の向きが昼間と全く逆なんですね。だから吹き込んできちゃっているんです。たまにこの地方ではこういうことがあるとはガイドブックには書いてましたが・・・今夜発生とは!
しばらくが1時間たち、1時間半たち、と何回も主人は出たり入ったりを繰りかえしていました。結果的に夜中になり湾に押し寄せる波と、岸にぶつかって戻ってくる波とで、かなり上下にゆられるようになりました。船体にぶつかる波の音も結構大きくなり、私もデッキに出ていくと・・・キャタマラン、さらに近くなっていたんです。キャタマランの若い男性たちもみんな外に出てきていて、フェンダーを出し始めました。距離的には接触はしないとは思いますが、主人いわく「キャタマランとモノハルはスウィングの仕方が違うから。念のためモニターしていないとね。または、うちがチェーンを短くして距離を広げるか、だけど、この状態でそれはしたくないな。せっかくアンカーがちゃんと効いている状態だし。短くしたらアンカーが流れるリスクが高まるし。」ということで、「うん短くしなくていいよ。激しく接触はあり得ないから、フェンダーで対応できるよ。」とうことで、私たちも両側の後方にフェンダーをつけ、デッキで待機することにしました。キャタマランの男性たちはこの状況が冒険みたいで楽しんでいるようでした。
風が収まったり、また始まったりを3回ぐらい繰り返し、そのたびにチェックに行きしばらく待機して・・・が夜中の2時ぐらいまで続きました。ようやく落ち着いた事を確認してから中に入ってきたのは、3時ぐらい。主人はすぐにグーグー寝ちゃいましたが、私はなかなか寝付かれず、うとうとしたまま朝になっちゃいました。
翌朝、主人が「昨晩はエキサイティングだったねぇ。」と声をかけると出発準備をしていたキャタマランの挑戦的な口調だった男性が「お宅はオーストラリアから来たんですか?」とフレンドリーな感じで話してきました。「船籍はオーストラリアだけどイタリアから運んできましたよ。」と会話が始まり、ほかの男性たちもでてきて和やかにしばしのおしゃべり。きっと短いレンタル期間を目一杯遊びたいから、次の場所に移動したくてたまらないんでしょうね、早々にキャタマランは出ていきました。出がけに「ホリデー楽しんでねぇ~!」と声を掛け合って見送りました。
天気予報は当てにならないもんですが、予想外の事態が起きても自分達でできる最善は最初から尽くしましたが、そこに他のヨットが来るっていうのは、私たちでは防げないこと。もしあのまま移動をお願いしていなかったら、おそらく完全に接触状態になったでしょう。アンカーのチェーンが絡んでしまったり、というさらなる面倒も引き起こしていたかもしれません。そう思うと、眠れる夜を過ごしてでも念のため外で待機していたぐらいで済んで良かった!
レンタルヨットが多い地方はオーストラリアの時でも経験していますが、狭いアンカレッジにほぼ経験なしのレンタルヨットと場所をシェアするっていうのは、さすがに始めてでした。観光地にいる間は、同じ事がきっとまたあると思うので、地中海式の接岸をアンカレッジでもできるようにするか、あまり観光地にはいかないようにするか、これからの課題です。私たち的にはなるべく人気のない所に行きたいので早くこのエリアを出るのが正解かなあって感じ。さて、次はどこに移動しようなぁ。
0 件のコメント:
コメントを投稿