2026年1月27日火曜日

動画:なんとSATOMI号単独でパナマ運河通過-Shelter Bay to Gatun Lake

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードと船上生活レポの世界にようこそ!




1月25日の午後3時過ぎSATOMI号はマリーナバースを出てパナマ運河通過へと向かいました。通過する前にもひと悶着あり、変更続きの2日間となりましたが、とっても素晴らしい経験ができました。普通なら他の船とラフティングして運河通過なのですがなんとSATOMI号単独で運を通過することに。いろいろありましたが、プロのラインハンドラーさんを雇って本当に良かったと強く実感した2日間でした。まずは1日目出発から最初のロックGatunまでの様子を動画と共にレポートします。

1月25日(日):ラインハンドラーさんとの顔合わせが12時ということだったので、前日にマリーナバースに入ることにしました。これなら直前までここで待機できるので準備が楽ちんです。

まず私がやったことは、この日の夜の食事の準備。どのタイミングで夕食が取れるのかわからなかったので、カレーを予め作っておいて、温めるだけにしておこうと思ったのです。これが後々大正解でした。一日の仕事が終わってほっとしたタイミングですぐにディナーを出すことができましたから。

デッキもきれいに掃除しましたよ。

お昼12時、時間ピッタリにラインハンドラーさんがやってきました。画面右下の男性がニックさんでチーフハンドラーさん。英語が話せます。後のお二人は両方共ホセさんで画面左のホセさんに私は後ほど本当に助けられました。この後のスケジュールの説明を聞いた後、ハンドラーさんは一旦解散で、午後2時半に戻ってきます。

パナマ運河を通過するためには、アドバイザーという通過ライセンスを持った人が乗船しないと通過できません。ラインハンドラーはプロを雇う義務はないので、友達セーラー同士で助け合ったり、ボランティアを募集する場合も多いようです。勿論クルーが4人以上いれば自分達でやることもできます。私たちは、クルーは私一人なのであと3人必要。最初、誰かボランティアを探そうかなと思ったんですが、めんどくさかったのとどんな人かわからないのも不安だったので、運河通過申請をエージェントさんにお願いしたので設備のレンタルからラインハンドラーさんまで全てパッケージで依頼しました。でもラインハンドラーさんを雇って本当に良かったと痛感したことばかりでしたよ。通過申請自体はペーパーワークが大変でシェルターベイにやって来てから初めてやれることなんかもあり、時間的に余裕があれば自分でやることも充分可能だなと思いました。でもラインハンドラーさんだけは、プロを雇うか、ボランティアでもセーリング経験がありさらにパナマ運河通過の経験がある人でないと、自分の船を傷つけたり、急なスケジュール変更に対応できにくいだろうなと感じたのです。特に私たちの場合、もしプロのラインハンドラーさんがいなかったら、25日予定通り運河通過できず延期になっていかもしれませんでした。

午後2時半、ラインハンドラーさんが戻ってきました。アドバイザーとの待ち合わせは3時半なのですが、マリーナのすぐ外なのでぎりぎりに出ればいいよ、とのこと。バースの出発は午後3時でした。私たちはもっと早く出て待機していないければいけないと思っていたので、その情報だけでもすごく有意義でした。バースを出る時からすでに仕事を開始してくれたので私は何もしなくて良かった!私と主人だけだとバースを出るのも一仕事なのですが、3人の手慣れた男性が手際よくラインを引き入れてくれたのであっという間に出れちゃった。

バウ担当のホセさんはすでに見張り開始です。


沈没船がいる!

バイバイシェルターベイマリーナ!

ラインハンドラーさんによると、あの船と今日はラフティングするらしいとのこと。その場合、運河を通過する時に片側二人しかラインワークが必要ないので、私は写真を撮ったりお料理に専念してリラックスしていればいいですよ、とのこと。ラフティングする時も彼らが全部やってくれます。アドバイザーさんとのミーティングスポットに来た時、ラジオで報告しました。20分後にアドバイザーさんが来るとのこと。
このとあと、ちょっとした出来事が。アドバイザーさんを乗せたタグボートがこちらに向かっているのが見えた時、ラインハンドラーさんがタグボートがSATOMI号に着岸しやすいように、ちょっと向きを変えるように主人に指示した時です。私たちが動いたのを見て、ラフティングする予定の船がいきなり動き出して、なんと私たちに向かってきたんですよね。しかもすぐ後ろまで来てホーンまで鳴らすんです! でラインハンドラーのチーフで英語が話せるニックさんが「動くな!!タグボートの方から寄ってくるから動くな!」と大きな声で叫んでくれました。それにしてもいったいなのために私たちの方に向かってきてしかもすぐ後ろまできてホーンまで鳴らしてきたんでしょうか。

アドバイザーさんを乗せたタグボート。

素早くニックさんとダブルホセさんがフェンダーを移動させタグボートが接触しないようにしさらにアドバイザーさんが乗り移る手助けをしていました。泊地アプリでこの時点で接触事故を起こしたみたいなのを読んだことがあります。確かにタグボートがどこに接岸したいかというのを知っていないと、自分の船の位置をうまく固定できません。

ラフティングするはずのAgnis bというフランス国籍の船はなにかの調査せんらしく船体にユネスコのマークやスポンサーらしき企業の名前がついた幕をはっていました。

相手の船は118フィートでアルミ船。近寄ってみたら船の高さが違い過ぎて安全にSATOMI号が安全にラフティングできないとアドバイザーさんが言うのです。私たちのクリートやストンションが曲がってしまう恐れがあるという判断。それと、ラフティングのために近づいた時に、相手の船に乗っているパイロット(63フィート以上の船にはアドバイザーではなくパイロットと呼ばれる人が乗り込んでいます。)とうちのアドバイザーさんが交信して相手の船の位置を指示したんですね。なのに、相手の船は変な動きをしていてどうもスキッパーがパイロットの指示にちゃんと従っていないようなんです。さらにこのパイロットも頼りなくて、新人さんらしく、タグボートで送られてきた時うちのアドバイザーさんに「私は何をすればいいんですか?」と聞いてきたらしい!!!


そんな裏話もあって、アドバイザーさんはこの船と私たちをラフティングさせて運河を通過するのは危険だと判断したようです。「相手がフレンチだからね最悪なんですよ。いろいろな船に乗ってきたけど、フレンチが一番やりにくいんだ。」と言っていました。それと全行程を終えてみて初めてわかったんですが、Gatunのロックは水位が上昇していくロックで、その方が水位が下がっていくロックよりラインハンドリングが難しいのです。それもあって、最初から危険がある船とラフティングするのはまずいというプロの判断だったようです。それとアドバイザーさん自身がやりにくいフレンチボートに乗っているのが新人のパイロットだからやり込められちゃうはずと思って、自分の仕事がやりにくくなるのも嫌だったんじゃないかな。
ですが問題は、SATOMI号が通過するスロットは、この日最後のスロット。他にラフティングできる船がないので、そうなると運河通過が後日になってしまうかも、という話だったんですね。でもアドバイザーさんが「プロのラインハンドラーさんがいるからね、なんとか延期しないで通過できるように交渉する。」と言ってくれました。そして待つこと10分ほど。パナマ運河オフィスからの連絡で、ラフティングなしで単独通行する許可が下りました。

ここでも実はプロのラインハンドラーを雇っていることが功を奏しているんです。というのは、単独で通行するということは、4か所のラインを同時にうまく操作する必要があるんですよね。最初アドバイザーさんは3人しかハンドラーさんがいないと思っていたんですが、私もできる、と主人がいってニックさんも「大丈夫です。うちのホセが彼女を補佐するから問題ありません。」と言ってくれたのです。それで、OKサインが出ました。

これも後で考えると単独通行の方が楽だったのだ。ロックの幅は思ったより狭いので、3隻のヨットが横並びになると両端の船は壁との距離が1メートルぐらいしかない場合もあるので、タイミングよくラインを操作しないと船体を真ん中に保てず、両端の船が壁にこすってしまい傷つく事故が発生するのです。アドバイザーさんの話をきくと、私が思っていたよりもそういう事故はもっと頻繁に発生している感じでした。

待つこと1時間弱、オフィスから許可が出て、予定どおり今日のうちに通過できることになりました。しかもソロで!いえ~!!!この時アドバイザーさんが「あなたたちは本当に良い判断をしましたよ。プロのラインハンドラーを雇うのは大正解です。私の仕事もやりやすいし安全感がある。いくら世界の海を航海してきたベテランセーラーでもね、パナマロックを経験していなかったら全然違う経験なんですよ。数百ドル節約してもね、そのせいで壁にこすって船体を傷つけたり、自分がケガをしたりしたら全く意味がないからね。」と話してくれました。

ライフティングするはずだった船もソロで私たちの前を行きます。つまりSATOMI号がこの日本当に最後の最後の順番だったのです。午後4時半橋をくぐってGatunロックに向かいます。あの橋以降はアドバイザーやパイロットが乗っている船しか航行できません。

すでにラインを4か所に接続して準備万端です。

湖の中に入りました。午後5時ちょっと前。


午後5時半、いよいよGatunロックの中に入っていきます。


午後5時42分、4か所のラインを陸側に接続して水位が上がってくるのを待ちます。ここまでの経緯は、まず陸側から先っぽに重りがついた細いヒモがなげられてきます。それに船側につけたラインを結び付けます。そうするとヒモ(メッセンジャーと呼ばれています)を陸側から引っ張り、船に着いたラインを岸のクリートに引っ掛けて固定します。この状態で水位が上がるのを待ちます。このメッセンジャーが飛んでくる時、重りがソーラーパネルにあたって割れてしまう、という事故も結構あると聞いていました。うちはラインハンドラーさんがそのことを心得ていて、陸側の運河職員に「真ん中より前方に両方とも投げてください。」と指示していました。スターンにつなげるメッセンジャーを真ん中で受取り、スターンまでもっていってつなげてくれました。さらにスターボード側はメッセンジャーを投げた人が下手で、船体に届かず手前でポチャリ。SATOMI号の船体に重りがあたったんですよね。でそれをまた壁の上から引っ張り上げて投げ直すのは時間がかかるので、ニックさんの判断で受け取ったバウ側のメッセンジャーにバウとスターンの両方のラインをつなげて返しました。こういう咄嗟の判断も、プロならでは。もしボランティアの人たちだけで、しかも運河通過を経験していない人だったら、そういう判断がすぐできたかどうか不明です。少なくとも私は思いつかなかったしね。


午後5時45分、ゲートが閉まりました。いよいよ水位が上がってきます。そうしたら私はお仕事開始。上がるにつ入れてラインを船内に引き入れていきます。常にラインにテンションがある状態にしておかないと、ロック内で船が真ん中の位置に固定できないんですよね。引っ張るタイミングが悪いと船が斜め向きになってしまいます。ラフティングしている状態だと、もし全体の船が斜めになっていったら端っこにいる船は壁に近づきすぎて結果擦ってしまうことになるわけです。ラインを引っ張るのが結構力がいるんですよね。ライン自体が重いので、それをスピーディーに引っ張り入るのは私にとっては重労働でした。ポート側のバウラインを担当していたのですが、すぐ横にホセさんがいてホセさんは自分の側を固定するとすぐに、私の方のラインを固定してくれました。

数分で水位があがり、ラインは陸側と平行に近い状態になりました。

2番目のロックまではラインが繋がった状態で移動します。船側のラインは陸側のクリートから外されるので、それを船側に引き入れますがメッセンジャーとは繋がったまま。

メッセンジャーの端っこを手で持って、陸側の人が歩くスピードで船を走らせ繋がったまま次のロックまで移動します。Gatunには3つのロック、つまり三段階に分かれて上昇していくのです。

二つ目のロックに入りました。

最終的に、3つ目のロックを上昇した時は6時半を過ぎていました。すでに暗くなっています。

振り返ったら、坂道みたいだった。

最終ロックを出たのはすでに夜7時を過ぎたころ。出たら、すぐに私は船内に入り夕食の準備を開始しました。だいたい10分ぐらいで今夜を過ごすモーリンブイにたどり着くとのこと。頼もしいハンドラーが3人もいるので、モーリングブイに繋ぐ仕事も私は関わらないくていいのです。

カレーは温めるだけなのであとはご飯を炊くだけです。炊いている間にキュウリと塩昆布の即席漬物も作りました。

モーリングブイに繋ぎ終わって皆さん一息ついたタイミングで丁度良くディナーも準備OK。カレーは大好評で、バウで二人分の仕事をしてくれたホセさんはお代わりをしてくれました。最初の一皿もかなり大盛だったんですけどね。カレーは念のため10人分ぐらい作っていて、ご飯も5合ぐらい炊いておいたので、お代わりも充分残っていました。キュウリの即席付けも好評で完食となりました。

この後、アドバイザーさんはお迎えのボートが来て帰っていきました。ラインハンドラーさんは予めデッキの外で寝ると聞いていましたが、一応スターンバースは一つ開けておきました。でも外の方が涼しかったので、3人とも外でに寝ていたみたい。幸い船体の上には大きなマットレスがついているので年上のホセさんと若いホセさん(スリムなのだ。)だったら二人が一緒に寝れるぐらいのスペースもあります。

私は夕食後も、洗い物が沢山あったので、忙しくってモーリンにどうやって繋がれているのかとかアドバイザーさんが帰って行ったのも全く気が付いていませんでした。

こうしてパナマ運河通過の第1日目が無事終了しました。もうこの時点でプロのラインハンドラーさんがいることの恩恵を痛感しておりました。主人も半日ずっと操船していましたが、アドバイザーさの指示に従って航路を走っていただけで接岸の心配など何もしなくてよく、気楽だったと思います。ラフティングして通過なら私の出番は全くなく、写真撮影や料理だけでやっていれば良かったのですが、ロック内では仕事をしないといけなくてこれが結構重労働でしたが、精神的にはすごく楽でした。自分達であれこれ咄嗟の判断をしなくてよかったのでストレスフリーだったんです。私はこの日、日ごろ使っていない筋肉を使ったためか、寝る時になったら膝の裏側の筋肉がつったみたいになり痛くてしばらくねむれなかったぐらい。それぐらいラインを引っ張りいれる作業は重労働だったのです。

ハイライトを動画にしましたので、ご覧くださいね。
 

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