2021年9月12日日曜日

真夜中に開くKhalkis橋を通過ー過去のいろんな経験がすごく役立った

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードとギリシャ船上生活レポの世界にようこそ!




5日も滞在したEretriaを9月10日朝10時に出発しました。この日はいよいよ真夜中に開くKhalkis橋を通過するというイベントが待っておりワクワク!

9月9日の昼に作っておいたカレーで夕食。日本のカレーは美味しいな。ワクチン接種でアテネの日本食マーケットに行ったとき、3箱買ってきたので、まだ当分カレーを楽しめます。

9月10日(金):朝ゆっくり目に支度をし、朝食を済ませてから午前10時にアンカーアップ。Eretriaの港を出てきました。ここではPort Heliにいた時であったご夫妻と再会。「Owl &Pussy Cat」(ふくろう&子猫ちゃん)という可愛い名前のヨットです。彼らはもう20年ぐらいヨット生活を続けていて、地中海を超え、大西洋を渡りカリブ海を楽しんだこともある超ベテラン。上陸した時にちょっとお茶を一緒にして、大西洋横断話を聞きました。航路でとても参考になる話を聞けたので、いつか私たち横断する時にもとても役に立つ情報でした。その「Owl &Pussy Cat」の隣を通過して「またいつかどこかでお会いしましょう!」と別れました。彼らは私たちとは反対側、また来た道を戻る形で進んでいきます。Eretriaにはメルテミを避けるためだけに立ち寄ったよう。

今日は全然風がないとわかっていたし、あったとしても真正面から吹いてくるのでメインセールは以前のままで上げましたけど、基本最初からエンジン走行です。

それでも、5日ぶりに湾の外に出るのはとっても気分が高揚します!

今回の最終目的地は以下の写真上の方のNea Aratakiというアンカレッジですが、その前にKhalkis橋(以下地図ではChaicisと綴られています。ギリシャ語の音からの当て字英語なので同じ言葉に複数の綴りがあるんですよね。)が真夜中に開いた時に通過するので、その手前のアンカレッジでそれまで一旦待機となります。なので、まずはそこまでの道のり。ほんの15マイルぐらいだからエンジン走行で6ノットのスピードなら3時間弱で到着してしまいます。

11時20分ごろこのあたり。

海の色が緑色に濁っていました。あまりきれいじゃないですね。貨物船とかも頻繁に往来するので交通量が多いから仕方ないのかな。

Khalkis橋の前には海底ケーブルがある場所や、新しい橋の下を通過します。
教会だと思うけど、飛び出た場所に立っているので夜になったらライトアップとかされるのかな?本土側です。

新しい橋の手前は、貨物船や豪華客船のドックなのか修理場所なのか・・・何隻かが係留されている場所がありました。水深は6メートルぐらいの場所なので、ちょっと驚き。SATOMI号はキールが2メートルあるから最低2メートル以上水深がないと浮かんでいられないんですね。こんな大型船だったらもっと深くないといけないと思ってたんですけど、何も積載していなければたかだか6メートルぐらいでも大丈夫なのかな?

12時頃、本土とエビア島を結ぶ新しい橋の下をくぐります。高さが36メートルもあるので、SATOMI号は勿論、ほとんどの船は余裕でその下をくぐれます。


でもねぇ~、下から見上げるとギリギリに見えちゃうのです。シドニー湾で初めてハーバーブリッジの下をくぐった時は、全然大丈夫なのに、物凄く不安になったのを覚えています。さらにその後オーストラリア一周時に別の場所で高さ23メートルぐらいの橋の下をくぐった時は、マストの高さがたしか18メートルちょっとあったと思うんで、これはもう本当に緊張しました。5メートルの差があっても下から見上げたら完全にぶつかるように見えるんです。ということで、橋の下くぐりは何回か経験があるので、全然平気でした。

はい、真下を通過中。
この橋をくぐってちょっと右に折れたら、本日のメインイベントKhalkis橋が見えてきました。Khalkis橋は通過するのが有料で、予めポートオーソリティ―に届を出して支払いを済ませておく必要があります。本土とエビア島を結ぶ道路なので交通量も多く、開くのは毎日真夜中辺りだそうです。支払いのために接岸するバースがあるので、まずは様子を見に行きました。風が岸側に向かって吹いていたので、一旦接岸してしまうと離岸するのがめんどくさいのと、この写真の左奥にいいアンカレッジがあり(本土側)、そこからテンダーで移動しても数百メートルの距離なので、アンカリングすることにしました。それなら出発の夜中まで移動する必要がありませんし、アンカーを上げるだけの方が、岸から離岸するより全然素早く動けます。

微風の日でしたが、強風の日でもかなりいいアンカレッジだと思いました。

手前に見える赤いペンキが塗っていある部分が橋通過希望ヨットの係留場所。アンカリングしているSATOMI号が見える位置。

上陸したらすぐにこの建物があったのですが・・・

目の前のでっかいビルに「Port Authority」って書いたビルがあったので「ここに違いない。」と入っていきましたが・・・実はここではなく、さっきの小さな事務所が支払い手続き場所でした。

その事務所にはこんな看板が。「ようこそエビア島へ。エビアは世界でもトップ10に入る素晴らしいセーリング場所です。」だって。確かに、島の内側だから波が大きくならない割にはメルテミが反対側で吹けばセーリングするにはもってこいの風になるわけです。波が立たないのにいい風が吹いくるのは、楽々セーリング。グレートバリアリーフの内側と似ているなぁ。

支払い事務所は端の南側、つまり北上する人達にはとても便利な場所にあるのです。例の赤いペンキの岸はそこで滞在すると有料だった!北側から南下するために橋を通過する場合は、この事務所までちょっと歩く必要があります。しかも、有料の赤ペンキに接岸せず近くのアンカレッジからだとかなりな距離になるので、テンダーでここまで来るか、やむを得ず有料の岸に繋げるしかありません。北上だと、アンカレッジのすぐ近くに事務所があるんですよねぇ。通行料は36ユーロでした。この時点で1時ぐらいだったので、Khalkisの街を散策がてらランチをすることに。

これが開いて通過する橋。橋の幅は39メートルなので余裕です。でもこれも慣れていないと、ギリギリに気がして怖いと思う。SATOMI号ではまだ経験していませんが、前のヨットの時、グレートバリアリーフ内で、ぐるりと囲まれているサンゴ礁の一か所だけ開いている部分から中に入っていった経験が何回かあるんですね。その時は、ヨットの幅が確か4.5メートルぐらいで、空いた部分が7、8メートぐらいしかない状態で、両側がもう1メートルちょっとぐらいのクリアランスで通過したので、上から見ているとまるとサンゴ礁にこすってしまう気がするぐらいでした。それと比べたらへっちゃらへっちゃら!

潮の流れが変わる時は、いきなり狭い部分に大量に海水が移動するので海流が早くなったりします。最低3,4ノットはいつもあるってガイドブックに書いてありました。

こういう狭い場所を通過するのが初めての経験だったら、物凄いドキドキすると思うんですが、これもですねぇ、オーストラリア一周時にもっとすごい条件の場所を通過したことがあるので、それと比べたらなんのその。オーストラリアの上の方は潮の干満差が15メートルとかになる場所もあり、10メートル前後は普通でした。さらに細長い島の中心に50メートル幅ぐらいの空きがある場所があり「壁の穴」って言う名前がついてましたが、そこを通過すると近道だったんです。そこも潮の流れが物凄く速くて、10ノットとかになりました。しかも私たち、セーリングしたまま通過しちゃって・・・中に入った途端に風がなくなり、セールはしおれたにもかかわらず、GPSスピードは10ノット。船体が横になりなそうなのを必死に舵を取りまっすぐになるように主人は奮闘していました。出口付近は渦になっていて、まるで洗濯機の中にいるようでした!あっという間に潮に押し出されて反対側に出ちゃいました!本当ならその場所はエンジンを付けて慎重に通過すべき場所だったのですが、当時は若気の至りというか初心者の無知無謀?!地元の漁師さん達が「大丈夫、みんないつも通過しているから。」っていう言葉を信じて、怖いとも思わなかったんですね。話がそれましたが・・・そういう経験をしたので、橋の下が物凄く海流が早くなっているのを見ても、全然怖いとは思わず、ましてやここはセール走行禁止で絶対にエンジン走行での通過ですから、楽勝!という気分。Owl&PussyCatのご夫妻にもこの橋通過の事を聞いたのですが、最初に通過する時はみんなものすごく緊張する場所だそうです。でも、過去にいろんな場所でのいろんな、しかもこれよりもさらに緊張する場面を体験してきたので、怖いとかは全く思いませんでした。むしろ夜中まで起きてられるかなぁとか、開いたことをちゃんと連絡してくれるのかしら?という心配の方が強かった。

橋の反対側からもSATOMI号がチラリと見えます。



橋の向こう側のエビア島側は、おしゃれなレストランが並んだちょっとしたリゾート風でした。




北側から南下する時は、この岸に接岸して徒歩で例の事務所に行くことになるので、有料になってしまいます。



ランチをしてから街の中散策。

エビア島で一番の大きな町Khalkisは、都会でした!



この「Superdry」というメンズブランドはシドニーでも同じみ。日本語で「超乾燥しないさい」と書いてあるので、私はいつも笑えてしまいます。

ZARAもあります。お買い物はしなかったんですが、都会の街並みを観たら満足した!

Khalkisの街を策っと散歩して満足したので、反対側の本土側にも行ってみました。
橋に鍵が沢山ついてました。これイタリアとかフランスとかかなぁ~恋愛の願をかけてロックを付ける場所ありましたよね。あれと同じだ。

こちらはあまり開けていませんでしたが、いきなりこんな古い建物があったりして面白かったです。

さらに、アンカリングしている場所からも見えていたんですが、電車の駅があるんです。しかもここで線路は行き止まり。本当の終点です。アテネからここまで電車が通じているのです。

中はちゃんと電車の駅っぽかった。

駅から見えるSATOMI号。左のネイビーブルーがそうですよ。

電車の線路をまたいでいくとちょっとしたビーチになっていて、例の橋通過料支払いの場所が見えます。





ほんの数時間でしたが、ぐるりとKhalkisの街を散策したり本土側のひなびた感じも堪能し、満足したのでお昼寝をするためにSATOMI号に戻りました。

橋が開く時間は夜9時過ぎにポートポリスにきくようにって支払い事務所のお姉さんが教えてくれました。橋の所の電光掲示板になにやらギリシャ語で書いてあって数字が23:00-0;00って書いてあったので、おそらくそれが本日の開時間なのでしょう。電話して聞いたら、やはりそうでした。午後11時以降にラジオで開いたことの指示をするので、それを待つようにってことでした。夕方7時半ごろまで仮眠。

夜9時すぎから目を覚ますために紅茶を飲んだりネットフリックスで映画を観たりして夜11時を待ちました。まだかなまだかなと時計とにらめっこをしていたら11時40分、無線から「橋を開けますからスタンバイしてください。」という声が。続いてこの日は、北から南下していく方が先に通過するとのこと。私たちは南から北上なので後の方です。

ゆっくりとアンカーをあげて橋の付近でウロウロ。気が早いヨットなんかは航路の真ん中辺にいて、「貨物船のじゃまだからどいてください。」と注意されていました。
貨物船が通過して一般ヨットの順番です。何隻も連なってこちら側に向かってきます。皆さんその後は、私たちがアンカリングをしていて場所に係留して朝を迎えるようです。なので、通過のために待機したりアンカーを今から上げようとしているヨットの間に、アンカーをこれから打とうとしているヨットが来たりして・・・・交通渋滞でした。私たちはちょっと離れた場所で待機していたので、その喧噪には巻き込まれずセーフ。

タワー上の明かり、レッド・ホワイト・レッドになったので北上側が通行できる番が来ました。すでに12時半ぐらいになっていました。この夜は本当に風が全くなく海面も穏やかだったんで、待機中もエンジンをつけていましたが、ほぼ止まっていた状態だったので、とても楽でした。
まずは貨物船など商業船が先に通過です。その後「セーリングボートの方、通過してください。」というラジオからの指示。すると、橋の手前で待機していた数隻のヨットが一斉に我先にと先を競って移動していきました。さらに私たちの付近にも2隻ほどいて、なんか競争みたいになっていたので、急いでも仕方ないので、お先にどうぞ、と道を譲ることに。

結局SATOMIO号は「オオトリ」で最後に通過しました。その時まで気づかなかったんですが、なんと橋の両側には沢山の見物人がいてワイワイ騒いでいたんです。一大エンターテーメントになっていたよう。金曜日の夜だしね。しかも最後のヨットだったからかな、「わー!」とか「おー!」とか歓声が聞こえてきたので、思わず手を振ってしまった!


通過した後、反対側の赤いペンキの係留場所に移動したヨットもいましたが、レストラン街から大音響で音楽が流れてきたので、ここに接岸したら今晩は眠れそうにないでしょうね。

北上からは合計6隻が通過したのですが、その大半はKhalkisの喧騒を離れてどんどん進んでいきました。街を離れれば真っ暗になるのですが、釣りをしている小舟が時々いるようなので私はバウにいて見張りをしばらくしておりました。それから2マイルほど行ったところあるAratakiというアンカレッジに到着。真っ暗な中アンカーを下ろすのは、周りが見えないのがちょっと不安でしたが、前方にキャタマランがいるのはわかりました。さっき橋を通過したもの。十分そこからは離れている距離に碇を下ろし、午前1時23分本日の行程を終了。目が覚めちゃっ立てたので、ウゾのレモネード割を晩酌代わりにして主人と乾杯。あ~長い一日だったけど充実していたねぇ。

翌朝11日、9時過ぎに目が覚めて外を見たら、キャタマラン以外にもあと2隻同じアンカレッジにいました。でもその人たちは、午後には出発してしまって、もう一晩滞在したのは私たちだけでした。


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