2023年6月19日月曜日

強風で落水したマットレスの救助一部始終

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードとギリシャ船上生活レポの世界にようこそ!





17日(土)の夜がここ数日の中で一番強風になるので、Barbati-Northのアンカレッジは最適!と思っていたら夜になってアンカーが流れるという事態が。もっと風から守られている泊地を求めて移動していた途中、強風で船体の上のマットが落水!!!なんという一日。

17日の朝、こんなにきれいな景色をバックに目覚めました。

夜通し風の音が聞こえてましたが、アンカーは大丈夫でした。私は2日間の寝不足を一気に解消するほどの爆睡。ここにはもう2日間いる予定なので、何もせずにだらだら一日過ごそうかなと思ったんですが、海がとてもきれいなのといいサイズの魚が沢山いるので、シュノーケリングしたくなりました。

海底の海草もよく見えます。

パンくずを投げたら、どんどにやってきた魚たち。


水しぶきを上げて食いついてました。


魚と友達になったあと、あの小さなビーチまで泳いでいきました。水温は丁度よく、午後1時ぐらいだったので、お日様も真上の方で海底がよく見えました。海草と砂地ぐらいで、特に面白いものはなかったのですが、それでもエーゲ海と比べたら魚の数が多いので、それなりに面白い!小さなビーチにはイギリス人のご夫妻が日向ぼっこしていて、おしゃべりしました。オーストラリアにも旅行に行ったことがあるそうで、その時の思い出なんかもお話して楽しい時間でした。


その後、午後2時から私は日本のクラフト仲間とのZoomを楽しみ、それ以外特に何もないとても平和で退屈な時間を過ごしておりました。ディナーは今晩もお家ごはん。鶏のから揚げを作りました。

夕食が終わったころ、風がどんどん強くなってきているのがわかりました。前夜よりも強くなるのはわかっていたのですが、予報よりもうんと強いみたい。岸側から風が吹いてくるので波はほとんどないんですが、それでも海面に吹き付ける風の通り道がわかります。


沖合ではもっとすごいみたい。白波が沢山たっていました。それにしてもなんか強すぎない?予報ではこんなになるはずじゃないんだけど・・・と思い、風速計をつけてみました。

すると、コンスタントに20ノット近くで、突風時は26~28ノットを記録。え!!!やっぱ予報よりもうんと強い。それも、風速計でみるより、実際の方がもっと強く感じたんです。25ノットぐらいの風だったら、立っていられないような強さは感じないはずだけど。変だなぁ。

夕方6時45分ごろの予報はこうなっていました。私達がいるのは白丸の所。10ノット程度のはずなんですけど、そんなもんじゃありません。目の前にそびえる山、高いけどもしかしたらそこを超えてふき下ろしてくる風にあたっているじゃないのかなぁ~と思っていたら、なんとなく変な感じがしてきました。
この時主人も私も二人とも外に出ていたんですが、アンカーアラームが鳴る前にヨットが動いているのがわかりました。やばい!アンカー流れた!!!!砂地にぐっさり埋まっていればこれぐらいの風なら問題ないはずなんですが(ギリシャではアンカリング中最高45ノットまで体験。)海底が今一つな状態だったので、ここまで強い風だと流れても不思議はありません。それで急いでリアンカーしたのですが、すでに太陽は傾いているし風が強く過ぎて海面が乱れていて海底が砂地なのか海草郡なのか全くわからず。

取り合えず、GPSの記録をたどり今までアンカーしていた場所に再度落とすことにしました。結果・・・・全然ダメ。上げてみるとどっさり海草郡がのっかってきた。

そこで、この場所を離れて、もっとコーフタウンの方に向かって進んでみることにしました。とにかく風向きから、沿岸はどこでも波からは守られているので、後は海底に砂地の場所を見つけやすい泊地を探す必要があります。ほとんどの場所が海草だらけなので、その中で砂地がある場所を泊地アプリのコメントを頼りにひとつづつ確認していきました。

走行中、30ノットが普通で、38ノットまでいきました。本当に吹き飛ばされそうだった!

私はさすがに吹き飛ばされなかったのですが、変りになんと船体の上にボタンで留められているマットレスが、あっという間に持ち上がり、風に吹かれて飛んでいてしまい落水しちゃいました。「あ~落っこちちゃった。どうしよう~。」と叫ぶことしかできなかった私に対して、キャプテン・ロブは物凄く冷静に「大丈夫。トレーニングしたから取り戻せる。」と言いました。RYAというヨットスクールでオーシャンマスターの資格を取った主人。プロのスキッパーやタグボートのキャプテンとしても働ける資格で、半年に渡るコースでした。その中で落水救助の訓練が何回もあったので、主人はとても自信があったみたい。マットは浮いているし白くてサイズも結構大きいのですが、とにかく、見失わない事が大事。でもちょとパニックだった私は何をしていいかおろおろ。さらに、強風で波しぶきをかぶりまくり。防水コートを着ていたのので濡れることはありませんでしたが、メガネは濡れちゃって視界は悪かったのです。そして、もう一枚マットレスが船体の上にあるのですが、そっちの方もめくれ上がり、危うく飛ばされそうになったのをキャッチ。コックピットまで戻してきました。こんな事今までなかったなぁ。45ノットとかの時も飛ばされなかったのに。ボタンが劣化してきているので、以前よりしっかり留め切れていなかったのかもしれません。

さらに、スターンからマットレスを取り込むのでテンダーの位置を変えないといけません。これが本当に大変。だって、風が強すぎてテンダーを引っ張って船体の真ん中あたりまで移動させるのは、私の力では難しく、途中で主人と交代しないといけなかったんです。でもそれだと誰もヘルムを取っていないことになるし、マットを見失うし・・・ですったもんだ。そうこうしながらマットレスの近くまで寄り、船体で波からマットレスをカバーするような位置につけました。するとマットレスがスターンに近寄って漂ってきて、そこを主人がすかさずマットレスをつかみ、無事救助成功!

マットレスを無事回収してどんどん沿岸を進みました。最初にいた場所は下の画像の右上の3つのアンカーマークのうち、真中のグリーンの碇マークの所にいました。移動したのは、青丸の位置。Ormos Ypsosという場所で海底は海草が多いものの、砂地パッチがわかりやすいというコメントがありました。それと地形の成果、ここに近づいたら、途端に風の強さが弱かったんですよ。

沖合では相変わらず白波がぴょんぴょんしていたので、風が弱まったわけではないようですが、明らかにここは穏やか。かろうじて砂地らしい場所を見つけて、アンカーを下ろしました。風は弱まったと言え20ノット近い状態には変わりなく、アンカーを下ろしたらすぐに風にあおられていきましたが、チェーンのいい具合のハリで、アンカーが効いたのがわかりました。


あそこにでっかいモーリンがあるんですが、誰所有なのかもわからないから使わないことにしました。サイズからするとかなりな大型船用みたい。勝手に使って夜中に突然「どいて下さい。」となるのも嫌なので。

ここにはウォーターパークがあるんですよね。

すでに先客がいました。アプリ上でこの船の事が出ていたので、誰かが今いるなら安全な泊地なんだろうとここにしたのです。時折突風が吹くものの、さっきとは全然違う平和さ。

取り合えずマットレスはこのままここに置いておくことに。

この上に普段乗っているマットレスです。走行中寝転んだりするのにとても便利なので、失くさなくて本当に良かった。

全て落ち着いたのは夜8時45分でした。なんとまあ、数日おきに夜間移動しちゃってる。でも自然相手だから仕方ないのです。本当はBarbati-Northにいた時100%アンカーの位置に満足していたわけではないので、翌日にリアンカーしようかなと思ったんですが、夜間の強風に耐えていたので大丈夫だろうと、やりませんでした。それに地形の関係からか、予報に大きく反した物凄い強風だったしね。

でも結果的には、アンカーが流れなくても一晩中すごい強風にあおられて左右に振りまわされていただろうから、多分不快だったと思います。Ormos Ypsosでの17日の夜も、遅くまで風はおさまらなかったのです、あのままあそこにいたらもっと心配だっただろうな、と思いました。それにここには街並みがあるので、久しぶりに外食できる!というのも楽しみになりました。そんなことを考えながら17日の夜も無事に過ごすことができました。

それにしても、我が主人がながら、冷静に落っことしたマットレスを巧みな操船で拾い上げたのを見て、感心感心。あれなら私が万が一落っこちても安心かも・・・・って絶対落ちたくないけどね。でも落っこちるのが主人だったら・・・ごめん諦めてね、と言っておきました。

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