2024年5月16日木曜日

またしてもオートパイロット作動不可!2時間シフトでマニュアル操船オーバーナイト

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードと地中海船上生活レポの世界にようこそ!




14日にエオリア諸島を離れ120マイルほどの本土のSalerno(サレルノ)を目指しオーバーナイトで出発しました。なんと出発直後にまたしてもオートパイロットが不作動になった!今回も原因はオートパイロット自体ではなく、その指示をラダー軸に伝えるブラケットの部分が破損でした。修理できるとしたら離島じゃなく本土だろうってことで、航海続行。2時間交代のマニュアル操船で15時間乗り切りました。

さよ~なら~Stromboli島!この時はまだこの先に起こる事態予想だにせず!

5月14日(火):11時20分、Stromboliの泊地を出発しました。これから120マイルほど先にあるイタリア本土のSalernoを目指します。風が10~15ノット程度の予報なのでいつもよりゆっくり航海になると予想。平均速度5ノットで計算して20時間ちょっとの航海でしょう。なのでお昼に出発して現地には午前中に着くかなっていう計画。Salernoではポンペイ遺跡を見に行くために行くので、2泊マリーナを予約しております。これで2週間ぶりにやっとゴミを捨てられる!!

ここを離れる前に、アンカリングしていた場所から見えたお向いの切り立った岩の島を見に行くことに。3ノット程度しかスピードは出てませんが、島の周辺を離れればもう少しましなはず。

オーバーナイトでもお昼出発だったので、先に食事の準備をしておきました。カレーを大量に作っておきます。これなら走行中に煮込むだけでいいし。私は夕方6時から10時まで仮眠に入るので、その前にディナーを済ませることになります。で夜10時から午前2時までが私のウォッチ。普段、オーバーナイトの時は4時間交代でウォッチをします。

さよ~なら~Stromboli!そしてエオリア諸島!楽しかったよ~!

すっごいとんがった岩の島。噴火で盛り上がってきたのかしら?アンカリングしていた場所からテンダーでも行けそうな距離でした。

あれ?上に灯台が立っている?

しかもこちら側には階段もありました。登っている人たちもいる!


あんなところに係留?と思ったら、両方とも観光ヨットみたいで、1隻はアンカリングしてましたがスキッパーが乗船。もう1隻は単にプカプカ浮いていただけでスキッパーはエンジンをかけたまま待機してました。物凄い横揺れしてたので、お客さんを岩の上に登らせたらここは終了ッてい感じですね。

この後すぐに風がもっと弱くなってしまい、仕方なくエンジンをつけました。午後になったらもっと風が出てくることを期待します。なんたって、風スピードより速く走ってるからね。


この後私はカレーの煮込み具合を調べるためにキッチンに下りて行ったんですが、すぐに呼び戻されました。「ちょっとの間ヘルムしていて。」と言われたのです。おかしいなと思ったら主人が「オートパイロットが作動してないみたいだから、調べる。」というではありませんか?!えええ???!!!!!つい3週間前に直したばっかりなのに?!とショックを受けて居たら、スターンバースに潜り込んでいた主人が「オートパイロットは作動しているんだけど、ラダーがジャムっているってシステムが思っている。」と言いました。でもちゃんとラダーはマニュアルで動かせているんで、システムエラーなのかな?と思ったら、戻って来た主人には原因がわかったようです。「システムも異状ないけど、オートパイロットの指示でラダーを動かす部分のブラケットが折れてた!」というんです。なんですと??!!!ステンレススティールの頑丈な部品なのに、ポきっと2つに折れてたそうです。経年劣化ということですね。築30年を超えたSATOMI号、オートパイロットのハイドロパンプモーターもサービスが必要になっていたし、やっぱいろんな場所が同じ時期に寿命になってきたみたい。ウィンドラスのモーターもすぐにオーバーヒートするようになってきていて、アンカーをあげる時いっきにチェーンを最後まで引き上げられなくなっているんですよね。なので、ローマに戻ったらそれもサービスしてもらう予定です。

で、ここが決断の時。さっき島アンカレッジを出たばかりでこれからまだ最低でも100マイルぐらいの距離が残っています。明日のあさ到着予定で出発したので、オーバーナイトになることは確実。エンジン走行しているので、スピード的には7ノット台になっているので、それで計算すると15時間ぐらいの走行になりそう。それを二人でずっとマニュアル操船できるのか・・・いつものウォッチは4時間交代なんですが、オートパイロットにしているから単に周囲の交通を確認しているだけです。でもマニュアルでヘルムしてたった一人でウォッチもするなんて4時間はきついなってことで、主人が「2時間交代で、予定どおりSalernoに行くぞ。溶接してもらうだけからマリーナにいる間にできるかもしれないし、だめでもローマに行けばできるから。」というではありませんか。わたしはこれまで一人だけで1時間以上ヘルムしたことがなく、しかも夜間、しかもその間主人は寝ている・・・ていうのがすごく不安だったのですが、主人が「俺一人でも大丈夫だから。」というので、腹をくくりました。

最初はジェノアは出してなかったのですが、こうなったら少しでもスピードアップのため出すことに。
相変わらず微風なので、エンジン走行するだけだからセールの調整は不要、というのがあがたいです。

午後1時38分、7.4ノットのスピードでWay Pointまで97.1マイルってことは単純計算してあと13時間。つまり明日の午前2時ぐらいには着くわけだ。この日は風予報は比較的弱めだったのですが、その分波がなく方角は後方から吹かれる感じだったので、遅くても快適なセール走行を予想していました。なので最低20時間かかると思っていたんですね。でもエンジン走行なのでスピードが速く、その分航海時間も短くなります。20時間と思っていたのが残り13時間と思ったら、なんかほっとして「大丈夫、やれそう。」って思えたんです。


ほとんど波がないのも、ヘルムが楽でありがたい!どうせエンジン走行するはめだったから、オートパイロットがあろうがなかろうが大差ない気がしてきました。これがセール走行だったら、もっと大変だったろうなぁ。セールトリミングを主人が一人でやらないとけないし、ヘルムも常に握っていないとダメだったろうから、2時間でもかなりきつかったと思う。

カレーのランチを済ませて、午後2時から私に交代。主人は仮眠です。

午後4時14分。予報だったら今頃はセール走行できるぐらいの風が吹いているはずだったのに・・・これは神の思し召しか単なるラッキーか?!波もないからラットもあまり動かず、常にラットを握っていなくてもいいので、途中でトイレに行ったり、前方確認したってことが一人でもできます。残り78.08マイル。

午後4時から主人と交代しました。私は気持ち的には疲れていたんですが身体的には大丈夫だったので、おやつとお茶をいれたりして、外に出ていました。

主人はこんな感じでヘルムしていました。時々動かす程度でいいみたい。

波はほとんどないのですが、あっても後方からなのでそれに押される感じでスムーズに走って行きます。

まわりに交通量もなく、夕方6時ちょっと前にやっとフェリー1隻とすれ違いました。

夕方6時、再び私シフト開始です。スピードは相変わらず7.4ノットで残りは65マイル弱。10時間以内に着けると思ったら、すっごく気分が軽くなっていました。

6時のシフトがスタートした時、ようやく眠くなってきたところだったのですね。いつものオーバーナイトだとこの時間から私は仮眠に時間だからかなぁ。で、主人は「いいよ眠かったら寝てて。」と言ってくれたのですが、一応ヘルムの前にたったら、海風で目が覚めたみたいで、途端に頭がさえてきたんですよ。で、「大丈夫やれるから寝ていて。」と主人にいいました。


340度~345度の間に保つようにと言われております。


こんな風に足でちょこっと動かすだけで大丈夫。座ったままでチャートプロッターの緯度も見ることができます。背が低いのでラットの前に座っていると、腕を目一杯伸ばさないとラットに届かず、筋肉痛になりそうだったので、足の長さを利用(手よりは長いので)することを覚えました。

この位置からだと前もちょっとだけ見えます。

波の動きを見ながら、タイミングを合わせてヘルムを微妙に左右に動かすと、一定の緯度を保つことができるようになりました。そんなことを考えながらやっていたら、なんだかおもしろくなってきて、あっという間に時間が過ぎるような気がしました。平和な海でエンジン走行なんで、車を運転してるのとあまり変わらない感じでした。

風が顔にあたるので、防風ジャケットとフードで防備。このレインコート本当に優秀なのだ。

主人はちゃんと眠れているよう。寝息を立てていた。

7時ちょっと過ぎ、半分以上やってきました!4年前ギリシャに向かった時の軌跡とあと少しでクロスします。残り57.26マイル!

本当なら私の担当は夜8時までなのですが、7時すぎに主人が「お腹がすいた!」と起きたのでカレーを温めてディナータイムとなりました。カレーは今回沢山作っておいたので、あともう一食分あるのです。予め作っておいて本当によかった!しかもエンジン走行しているので、インバーターを付けて電子レンジも使えます。簡単にレンチンしてホッカホカのカレーライス。すでに二日目のようなコクが出ていて、主人いわく「今まで作ってくれたカレーの中で一番美味しい!」とのこと。

いつも通りの市販のルーを使っただけなんですけどね、ちょっとミルクを入れたらクリーミーさが増したのと、かなり煮込んだので大目に入れたジャガイモが溶け出してたからかも。玉ねぎなんか、ほとんど跡形もないぐらいでした。

途中で巻き入れていたジェノアを再びだしました。

ちょっとだけスピードが増して7.5ノットを超えるようになりました。

ディナーを終えて夜7時40分ごろ、主人と交代して仮眠に入りました。さすがにこの頃には疲れが出ていて、船内に入りソファで横になってしばらくしたら眠っていたよう。気が付いたら夜10時になるところでした。本当なら夜9時に交代だったのですが、私が眠っていたから起こさずにいてくれたみたい。で、すぐに主人と交代。

この時はもう真っ暗になっていましたが、当初感じた不安は全くなくむしろマニュアルでヘルムするのを楽しむようになっていました。相変わらず、体感風速は10ノットも超えないぐらい。この日の風予報はおおはずれでした。あえてこの日にロングセールをするのを選んだぐらいだったのにね・・・でも大外れでありがたかったけど。セール走行だったら交代で休憩をしっかりとれなかったと思うので、かなり体力的にも精神的にもつらかった蛯名、と思います。

夜10時35分、あと33マイル弱でスピードは7,6ノットになってきた。

夜11時46分、風は…体感が真正面から3ノットって・・・・実際のスピードは0ノットだった!

この時はすでにジェノアは閉まっていてメインセールだけだったのですが、それでも7ノットを下回ることなく順調に進んでいました。あと22マイル弱!2時間シフトなので、10時からスタートした私は12時には終了なんですが、その前に主人が3時間ぐらい担当してくれたのもあったし、あと少しの我慢だと思ったので、私も担当時間をちょっと延長することにしました。

午前2時半ぐらいに到着するはずなので、これが私の最後のシフトになると思い、12時半まで頑張ろう!と思いました。

三日月よりちょっと太ったお月さまが出ていました。

午前0時20分。Salernoはもうすぐそこだ!街の明かりが遠目に見えていました。

午前0時半から主人に交代。私もそのまま外に出ていました。街に近づいてきたので漁船などがいるかも、と思い、私は前方ウォッチ専門でした。案の定、AISを発信していない漁船がぜすぐ前方100メートルぐらいの距離に浮いているのを発見。ナビゲーションライトが付いていたのですが、後ろ側しか見えなかったのですぐ近くに来るまでわかりませんでした。漁船は漁場を知られるのがいやなのか、位置情報を発信していないことが多いので、夜間走行時には油断大敵なのです。

午前1時半ごろ、この最後の1時間ぐらいが一番長く感じました。この頃、ちょっと前方からの風が強くなってきていて、メインセールを出していたこともありヒールするようになっていんたんです。

そして午前2時半を過ぎた頃、ようやくメインセールを下ろすことに。もう街の明かりで辺りはかなり明るくなっていました。マリーナ横に砂地のいい泊地があるんで、そこで夜が明けるまで仮眠することにしています。遠浅だったので、念のためいつも通りぐるりと円を描いて360度その方角にスイングしてもいいように深さを確認し、アンカーを下ろしました。火山諸島のアンカレッジと違い、深さはキール下3メートル弱の浅い場所にアンカーを下ろしたのでチェーンはたったの20メートル。風も全くない穏やかな夜だし海底が泥地らしいので、全く問題なし。アンカーは下ろした途端に効き始めたのがわかりましたが、主人は納得いくまで念のためバックにギアを入れて確認していました。

そして午前3時15分、やっと全てが終わりました!こんなにも長時間ぶっ通しでマニュアルで操船したことは今までなかったので、すごく達成感でした。でも正直、エンジン走行でしかも物凄い平和な海だったので、車を運転しているような気楽さでしたけどね。これがセール走行だったらと思うと・・・ここまで長時間だったりオーバーナイトではやりたくないぁというのが本音です。

あそこに光っているのが後で入るマリーナがある港。
浮いているように見えるのは、ライトアップされた古城です。


5月15日(火):目が覚めたら8時半を過ぎていました。昨夜は時折横揺れしてましたが、丁度いい疲労感ですぐに寝ちゃいました。それに睡眠が深かったせいか、朝の目覚めがすっきりしていました。

いいお天気で、ビーチではすでにビーチバレーを楽しむ若者の歓声とホイッスルがきこえてきました。

まずは朝ごはんを食べてから、マリーナに入港です。入港前にテンダーをダビッドの上まで引き上げておかないとね。

ということで、オートパイロットは使えなかったものの、エンジン走行を余儀なくされた天気でしかも海は始終ほぼまっ平だったので、大きなドラマも事故もなく、長時間ではありましたが安全に航海を終了することができました。次はまた修理だなぁ。Salernoにいる間に直せるといいんだけどね。

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