2024年5月20日月曜日

風予報は大外れの二日間ーローマに着きました!Salerno-Ventotone Island- Ostia

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードと地中海船上生活レポの世界にようこそ!



昨日夕方にローマ郊外の海辺の街オスティアに到着しましたよ。二日間とも風予報は大外れで、連日セールをあげながらエンジン走行を余儀なくされましたが、両日とも最低60マイル越えの長距離移動だったので海が穏やかだったのはすごく楽でした。これから2週間ぐらいオスティアに滞在して、ソーラーパネル追加やウィンドラスモーター整備に他にも細々としたアップグレードに精を出す予定です。あ、ドライブ観光旅行も間に入れるつもりですけどね。

5月18日(土):朝6時前にサレルノのマリーナを出発。横風などもなくスムーズに離岸しました。

外にこれから入港してくるタンカーがいるのがAISでわかりました。後ろにはそれを誘導するためのタグボートがいた。お邪魔にならないように港の端っこを走行します。

天気予報は数日前よりも、風が弱く変わっていましたが、沖の方に出ると通常は予報よりも強いことが多いので、それを期待します。本日はVentotone島というサレルノからおよそ75マイルの島のアンカレッジに向かいます。

海岸沿いは小さな街が密集していてきれい。

あれは昔の見張り台?それともあそこに火をともして灯台替わりだったのかも?!

この時点でセールはあげていますが、エンジンはつけっぱなしです。最低7ノットのスピードを保ちたいです。


あれはアマルフィーの街。ポンペイ遺跡に行く途中、道を間違えて入ってしまった海辺の街です。大昔海洋都市として独立した国だったそうです。海から見る方が街全体がみえれるので眺めがいいかも。


こんな洞穴みたいのが見えました。トンネルの入り口みたいに綺麗なアーチ型ですが、奥はなく奥が浅い洞窟みたいです。でもなんとなく岩をくり抜いて建物にしようとしていたのかなっていう形でもあります。グーグルマップには特に記載はありませんでした。こういう景色は海上からしかわかりませんね。

8時半、左に有名なカプリ、右がソレントの端っこが見えました。あの間を通過していきます。

9時ちょっと前カプリを左に見て。この辺りはナポリやソレント辺りからカプリに向かうフェリーや個人のスピードボートがあっちからもこっちからもわんさか通過していました。その流れを横断していく形なので、AISと目視でしっかりウォッチ。特に小型のパワーボートにはAISがついてないものが多いので、良く観てないと突然すぐ近くに現れたりします。あ、でもその前に引き起こす波でなんとなくわかりますけどね。物凄いスピードですぐ横を追い越していくので、そのたびに引き起こされた波でゆらゆらしちゃいました。

カプリを通過してナポリ湾にさしかかると、ヴェスヴィオ火山が見えました。この日はお天気が曇りというか、サハラ砂漠からの砂を含んだ風でこんな風に視界がぼやけてました。全体的に黄色っぽいきりみたいな感じ。風自体はそれほど強くなく、生暖かいような変な天気でした。

10時、ジェノアも出してちょっとスピ―ドアップです。でも残念ながらエンジンを止めてセール走行できるほどの風はなし。島の間を離れたら少しはましかな。

11時40分ごろ、ジェノアがバタバタするようになったので、巻き入れ。

ナポリ沖の島の外側と通過中。Barano d'Ischia島です。

その10分後、11時50分とうとう雨が降り始めました。ずっと嫌な曇り空で、遠方では雷もなっていました。

風は予報とは大外れで、セーリングできそうな風はなし。できないことはないですが、スピードが5ノット以下のスピードしか出ないので、一晩中かかってしまいます。最近風予報が全然当たらずで、毎回エンジン走行が続いています。多分陸に近いエリアにいるからかな。火山に島からサレルモに向かった時はかなり期待できる方角だったんですけどねぇ。そして通常なら、沖合に出ればでるほど予報よりも実際は強い風が吹いていることが多いんですが、それも大外れが続いてます。そのおかげで海が全く荒れなくて、毎回スムーズな航海なのは燃費の面でも快適さの面でもありがたいですけど。

午後2時15分、アンカリングするVentotone島の近くにある小さな島を通過。なにやら円形の建物がポツンとたっています。ここは無人島のはずなので、使われていない建物のはず。形からすると刑務所跡かな?という感じですが、グーグルマップには歴史的建造物で軍関係の建物と書いてありました。

午後2時18分、Ventotone島の街の前を通過。

フェリーが入る港にマリーナもあります。こんな小さな島ですが、マリーナ係留代は80ユーロは超えるのです。街に上陸する予定はないので、その裏側にあるアンカレッジに向かいます。

ブルーや白のマークが街のあたり。私たちが向かっているのはその反対側の一番上の黄色碇マークの場所。青丸が午後2時半の時点の位置でした。

一見すると外からのウネリから守られていない感じですが、アンカーを下ろす場所はもう少し岸に近い位置。

とても深い湾で、岸に近い位置でも水深は結構あるんですがその辺りは海底が岩場なので、チェーンが絡まる危険大。水深8以降辺りからは砂地だそうで、10メートルぐらいの場所にアンカーを下ろしました。チェーンは50メートル出しました。天気が悪いので、海底の様子は全くわかりませんでしたが、アンカーがすぐ効いたのはわかりました。ただ今夜はそれほど風が強くならない予報だったし、昼間もずっと予報より風が弱い状態だったので、海も荒れておらず、きっとアンカー自体が効いてなくても例によってアンカーの重量とチェーンの重さだけで支えられると思います。午後2時半、航海終了。

また雨が降り始めました。肌寒い午後で、室内でゆっくり休みました。驚くことにネットがすごく速かったので、退屈することがなかったです。

翌日もさらに早朝出発なので、早めのディナーは午後4時頃。お決まりのチリ・コン・カーン。いつもならピーマンをいれるのですが、切らしていたので代わりにズッキーニをいれたら結構これがジューシーで美味しかった。これからこっちのレシピにしようかな。
夜は全くと言っていいほど揺れることなく、ぐっすり平和に眠るっことができました。夜中だったかな、一時的に横揺れがあったのですがすぐに止まりました。多分沖合を高速フェリーが通過したんでしょうね。

5月19日(日):5時半起床!6時前にはアンカーアップで出発です。この日はいっきにローマまで80マイルちょっとを進みます。本当は途中の島でもう一泊して月曜日20日にローマ入りしようと思ったんですが、この島からだと一気にローマを目指した方が風の方角的にいいのです。ま結果的にもそれも大外れでこの日も一日中エンジン走行になりましたけどね。

最新の風予報では、数日前にチェックした時よりさらに風弱まっていて・・・島の周辺を離れてすばらくしたらなんとかなりそうでした。6時半、この直線の先にローマが!この後、暇なので、主人は室内に入って仮眠に入りました。

いつでも風が強くなっていいように、メインもジェノアも両方出して、エンジンの燃費を助けます。一人で外にいたのですが、暇だったのでテルテールサインを見ながらジェノアやメインをちょこっとずつトリミングしてみて、スピードに変化が出るか試して遊んでいました。エンジン走行でもトリミングを調整すると0.1とか0.2ぐらいスピードが増したので面白かった!

海がスムーズなのと、海流に押されているのか7.8ノットのハイスピード。

8時12分、最初のWay Pointまで残り62マイル。実際はそこからさらに10マイルほどありますけどね。

8時50分ごろ、なんと・・・・風邪ゼロ。この時点でこの日のセール走行はあきらめました。

ここ数日本当に風がない日が続いているので、本当に海が穏やかなんです。揺れることもほとんどなく、雨も降ってきたのでほとんど船内にいて、15分ごとぐらいに外に出て様子を見る程度でした。それと回りを航行する大型船もなく暇な航海です。

雨が降っているので、レインコート。最近航海の都度これが登場しています。

10時半、一旦はジェノアを巻き入れていましたが、再び出しました。さっきとは反対側。かなり真後ろに近い方角から微風が吹いているんですよね。

11時ごろ、実際の風スピード、真後ろから7ノット。

午後2時ちょっと前、船スピードは8ノットを超えていました。長距離だから平均7.5ノットを保てるのは嬉しい。

波が後ろからになって、押してくれています。

午後3時半、ローマに続くテビレ川の入り口まで残り7.5マイルだ!目的地のオスティアのマリーナは川の中にあるマリーナで、その川の上流がローマ。ローマ帝国時代もローマから海に続く航路として利用されていた川なのです。

後ろからの波でサーフィン状態。でも波が大きくないから揺れもしません。

4時20分、懐かしのオスティアの街が見えます。

フィミチーノのマリーナ。ここにも一応係留費用の問い合わせをしたのですが、応答なしでした。今回の係留所確保とソーラーパネル追加に伴うキャノピー作成職人を手はしてくれたブローカーのファブリチオさんのオフィスはこのマリーナ内にあります。なのでもしここで作業を含む係留が可能で、しかもお値段的に一番やすければここを紹介してくれたと思うんで、おそらくお値段が高かったのか、作業をしてはいけないのかどちらかだったんでしょう。ギリシャでも時々あるんですが、イタリアだとマリーナ内で修理工事とかをやってはいけない場所が結構あります。おしゃれな感じの場所であればあるほど作業は禁止されていたりします。

4時半、テビレ川の入り口に差し掛かります。

マーカーに沿って通行。


ですが、途中で物凄く浅くなってキール下10㎝程度ぐらいしかなく一瞬ゼロになった時もありました。もともとそれほど深い川じゃないので、出入り時に波が立っているとかなり危険な状態になる場所。4年前ここから初めてSATOMI号が出発した時の数日前、すごく荒れていたにもかかわらずドイツ人のセーラーの方が無理して出港していき、途中コントロールを失って岩のブレークウォーターに座礁しちゃうという事件があったのです。ま、無茶したご本人の責任ですけどね。川の真ん中あたりの方が浅くなっているようなので、ちょっと右端によって進みました。ようやく深くなっても、キール下は1メートル50㎝~80㎝。つまり水深は4メートル以下なのです。

どんどん上流に向かいます。あ~懐かしいこのワーフ。4年前出発した直後にエンジンのオーバーヒートがわかり、緊急接岸したワーフです。小さなシップヤードのワーフだったので、すぐにエンジンメカニックを手配してもらえて、すぐ対処できました。エンジン冷却水パイプが巡回していなかったのが原因でした。コロナ渦の最中にオーストラリアに居ながらにしてローマにあったSATOMI号を購入したのです。一応チラッと下見をしました、最終的に購入決定した後も、前オーナーからの引継ぎは全くなしでした。前オーナーは専用スキッパーがいた人で、そのスキッパーもオーナーも80代を過ぎたのでセーリングからは引退ということで手放すことにしたらしいのです。で、一度だけそのスキッパーの方にお会いしたのですが・・・英語があまりわからないのと、お年を召されていて、もういろんなことがわからない状態でした。なので、マニュアル片手に主人が自分でいろいろ触ってみてSATOMI号の事を勉強。電気系統の配線とか、燃料タンクの接続の仕方とか、かなりな部分で付け焼刃な状態が多く、当初はいろんな苦労がありました。徐々にSATOMI号の修理、アップグレードを通して船の事を知るようになり、3年目の昨年初めになってようやく、メジャーな修理が一通り完了。最初なんて、製造元のフランチー二社に直接問い合わせて図面とかもらってました。

そういういろんな苦労も今ではいい思い出。手をかければかけるほど船への愛着が増しています。川の真ん中に小さな島があって、以前は向かって右側の方にあるマリーナに係留されていましたが、今回手配してもらったのは左側にあるブルードルフィンというマリーナです。随分前から予約していたのですが、当初は20日月曜日に到着で一日早まりました。一応19日にメールもし、今朝にも電話をして「今日の夜7時までには到着します。」と連絡したんですが、事務の英語がわかるお姉さんから実際に係留を手伝うスタッフに連絡がいってなかったのか、マリーナの目の前で電話してもなんかちんぷんかんぷん状態。でその人が事務のお姉さんに電話して再度また電話がきて・・・とドタバタ。

しかもリクエストで、ワーフに接岸できる場所でお願いしますって言っておいたのに、ラフティングするしか場所しか開いておらず・・・・ま、この川沿いのマリーナは基本ラフティングなのでそれはわかっていましたけどね。全く通じておりませんでした。さらに川の上流に行けば行くほど、海流が物凄くってゆっくり航行していると操船がすごく難しいんですよ。でマリーナ係留スタッフがすでにラフティングしている船に乗り移り話に来てくれた時には、ちょっとコントロールを失って係留している船に接近!フェンダーを沢山ぶら下げていたので接触はしませんでしたが、ぐいぐい船体に押されちゃって身動きできないくなってしまいました。すると係留スタッフが乗り込んできて、そのうちの一人の方が見事な手さばきでSATOMI号を引き離し、操船してくれました。で結局、マリーナオフィスがある側とは反対側のワーフにラフティングすることに。

ここからは岸にアクセスできないので、陸に上がりたい時はマリーナオフィスに電話すると24時間いつでもこのボートでお迎えに来てくれます。到着した時は5時ぐらいになっていました。シャワーを浴びて少し休憩してから、マリーナのレストランに行くことに。電話をしてお迎えを呼びました。
先ほど操船してくれた男性がスキッパーです。本当に腕がよくて、私たちの前にいるヨットがいったん上流にあるシップ―ヤードにアンカーを取りに行く時も、物凄いタイトな場所をワーフから見事に船を離岸させていました。もう前後の隙間が1メートルあるかないか、なので、海流に慣れていないととんでもないことになります。この川のマリーナで働く人たちはみんな操船がうまく、4年前のマリーナでもそうでした。毎回ラフティングしている船が出入りするたびに、パズルのように船を動かしながら順番を変えるんですよね。なので船のオーナーは自分ではやらずみんなマリーナスタッフに離岸接岸をやってもらっていました。

マリーナレストランは実際は日曜日のディナーは営業してなかったのですが、ドライバーの方が「開いてる。」と言ってしまったので申し訳ないと思ったのか、自分の車で川沿いにある他のレストランに送ってくれたのです・・・・が、全部夜はやっていなかった!それで最終的に「お肉と魚どっちがいい?」と聞いてきて、お肉、と答えるとなんと、自分の家の近くに美味しい肉レストランがあるから、とそこに連れて行ってくれたのです。マリーナからは15分ぐらいの距離だったのかな。しかも、帰りはまた送り届けるからマリーナに電話してね、というではありませんか。彼はほとんど英語がわからないのですが、イタリア語と英単語交じりでおそらくそういっていると判断。

レストランは開店が7時半からだったので、着いた時はまだ7時。でも開店までワインとかを飲んでまたしていただくことになりました。

お店の奥にお肉の塊が、ショーウィンド―の中で熟成されているのをみて、期待が膨らみました。そして結果は・・・・もう最高のステーキだった!キロ単位で塊でオーダーすること美緒できますが、二人でもそれは多いので、フィレをオーダー。私のはゴルゴンゾーラチーズソース。

主人はクリーミーペッパーソース。そして焼き具合はしっかりレア。久しぶりにちゃんとしたステーキを堪能。特にゴルゴンゾーラチーズソースは絶品でした。

付け合せにグリル野菜とチップス。野菜をチーズソースにつけて食べたらちょっとチーズフォンデュ的になりました。

まさしくビーフステーキ専門店。夜も電話したら車でお迎えに来てくれて、そのまま船前送り届けていただけきました。係留スタッフのお二人(一人が少し英語が話せるので通訳代わりもしてくれます。)が本当に親切で、幸先のいい滞在スタートでした。

連日朝6時前から出発し、丸一日の航海が続きましたが、天気を狙ったにもかかわらずセール走行できなかったのは残念でしたが、その分とっても穏やかな海に恵まれ、走行中もお昼寝したり、船内でネットが通じる時はYou Tubeを観たりして優雅に航海できたのはありがたかったです。まるで大型クルーズ船に乗っているかのようなリラックスぶりでした!

さ、これからしばらく作業の日々が始まるのだ~!!

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