2024年11月25日月曜日

風予報だけじゃなく航路まで自艇情報でプログラムしてくれるデーターハブ

皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードと船上生活レポの世界にようこそ!



数日間に渡る長距離航海の場合、一番の気がかりは航海途中の天気の変化。イリジウムGOを新しく購入するにあたりPredictwind社のデーターハブパッケージを思いきって導入しました。データーハブがあればSATOMI号の船の特徴やサイズを考慮してカナリア諸島までの4日間の航海、天気だけじゃなくどの航路でいくのが一番いいのか4つのパターンで計画してくれるのです!

来年1月の大西洋横断は、バイキングラリーという最高でも25艇までの小さなラリーに参加して行います。ラリー費用も比較的安価ですが、参加にあたりイリジウム・GOの搭載という以外は、安全対策は各艇の責任において、ということなので縛りが少ないのも気に入ってる理由です。

当初はインターネットさえつながれば、随時風天気予報をネットでチェックできるのでスターリンクさえあれば充分だと思っていたので、イリジウム・GO(サテライト通信システム)を別に新たに購入するのは、ちょっとねぇ~と思っていました。でもイリジウムGoについて知れば知るほど、ポータブルのサテライト電話機能という面で、持ち出し不可能なスターリンクにはない機能があり、万が一ライフラフトに乗り移らないといけないような事態が発生した場合でも救助要請できたり、電池がある限り位置発信も続けれるので安全面のバックアップとして有効だな、と納得できました。

でも実際はそれ以上にもっと便利だったのだ!

まずイリジウムGoを購入するにあたり、バイキングラリーお勧めのPredictwind社が販売しているデーターハブというミニコンピューターとセットになっているパッケージを選びました。Predictwind社から買わなくても、勿論いいのですが、そのおかげでバイキングラリーメンバー専用サポートスタッフがついてくれて、使い方ウェビナーを開催してくれました。それで主人は無料バージョンでは得られなかった素晴らしい機能の存在と使い方を知ることができました。今後も使い方サポートは続いていきます。これだけでもバイキングラリーに参加した価値があった気がします。それにPredictwind社ってニュージーランドの会社なんですよね。2009年当時オーストラリア海域を航海していた私たちは、当時はまだ風予報のアプリなんかはなくて、そもそもネット自体が陸上でもオーストラリアでは通じてないエリアがかなりあったんですよ。スマホも当時は今ほど普及してなかったし。アプリなんてとんでもない!で、当時ニュージーランドに天気予報から長距離航路を計画してくれる人がいる、というのがセーラーの間では有名で、世界中の長距離セーラーが彼のサービスを利用していました。もしかしたら今、その人がPredictwind社に関わっているかも?

オーストラリアンバイトと呼ばれる西オーストラリアから南オーストラリアへの一週間連続航海をした時、私たちが頼っていたのは政府の気象庁の予報を無線で聞くこと。航海途中はそれができないのですが、ハイパワーのアンテナを持つ南オーストラリアカンガルー島のボランティアの人と、同じく南オーストラリアポートリンカンにいるボランティアの人と一日2回時間を決めて、天気予報を教えてもらい私たちの安全確認を無線で行っていました。彼らはメルボルン―大阪レースでもサポートしてくれている人たちです。

そんな時代から今、年間購読料はかかりますが、自分の船のモデルやサイズを登録するとそれに合わせて、航海に出た時の揺れ具合とか不快具合まで予測して航路を計画してくれるのです。出発日も4日間示してくれるので、その中から一番いいのを選べるのです。

あらゆる風予報や波の状況などを計算して平均を出してくれます。

船がどれぐらい不快になるのかも%で示してくれます。なので4日間のうち一番いい出発日を選ぶことができるのです。


警戒予報もわかります。

これはイリジウムGOとは直接関係なくて、イリジウムGoがなくてもPredictwind社のデーターハブは単独で購入できます。ですがイリジウムGoを含めたパッケージは1500USドルでした。

このデーターハブというのは、単独のミニコンピューターのようなもので、データの取得をイリジウムGOやスターリンクを通じて行います。そのデータに基づいて航路を編み出してくれるんですね。なので通信できている限り常に天気や航路のアップデートをしてくれるわけです。なので初期投資以外に毎月の購読費がかかります。それは70USドルぐらいです。購読は月ベースなので長距離航海をしない期間はストップすることができます。

Predictwindの風予報アプリは無料バージョンが有名で、私たちもこれまでそれを利用してきました。でも無料バージョンはデーターを示してくれるだけなので、それを自分達で解釈して結論を出します。これがなかなか難しいのだ。オーバーナイト程度の航海だったら出発前に確認しておけばまあ大丈夫だし、たとえ外れても24時間過ぎれば目的地の港やアンカレッジにたどり着けるわけです。(外れることの方が多かった気がしますけど。それは私たちのデーター解釈力が原因だと思います。)

携帯アプリもあります。この二つはPredictwind社のデーターハブパッケージを購入している人にしか使えないアプリです。


データハブがなくてもPredictwinアプリの有料バージョンにすれば航路プランニングする機能がありますが、それには船のモデルのよっての波の影響、どれぐらいアップダウンがあるか、どれぐらい横揺れするかなどの詳細な情報は得られません。

情報解析が自分でできればそれが一番なのでしょうが、波の高さ、間隔から自分の船のモデルだったらどういう動きをするのか、どれぐらいピッチングするのかなどを予想するのはかなり難しいと思うんですね。今までは主に風の強さと方角を中心に航海プラニングしていて、波の高さと間隔もある程度は考慮していましたが、それがどんな影響をSATOMI号が受けるのか、まではわからずおおよその想像でした。そのため実際に出発してから予想以上に波が大きくなっていて揺れも激しくなってもじっと我慢の子だったのです。でもデータハブがあれば、各時点で波の影響などをSATOMI号の船体データを加味して、航路を決めてくれるのでより不快感が少ない航路を表示してくれます。それによって出航を見合わすこともできます。船体データは長さとかキールのサイズとかという一般的な数字だけではなく、ちゃんと船のブランドやモデルを登録することで船体の形や風や波に対してのパフォーマンスのデータも考慮してくれるのです。

まだまだ使いこなせていないと思いますが、ラバットからカナリア諸島までの航路で初めて試してみます。11月24日お昼現在の時点で、一番いいのは11月26日火曜日出発となっています。これだって風予報だけを見て考えていた時は出発は28日以降かなって思ってたから大違いです。

という事で明日26日の朝10時過ぎにモロッコを出発します。グランカナリア到着は4日後の29日の夕方の予定です。久しぶりの2日以上連続航海が今から楽しみで仕方ありません。

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