皆さんこんにちは!Sailing Stamperウェラード里美がお送りする手作りカードとギリシャ船上生活レポの世界にようこそ!
7月10日の夜10時半過ぎ、隣にいたこのでっかいチャーターヨットに危うくぶつけられそうになり、キャプテン・ロブの迅速な判断で間一髪難を逃れました!まずはそこまでの経緯から。
私達がアンカーを上下始めた時、すぐ前にいたイギリス船籍のヨット(私達より後に来ました。)が、潮や風の関係で私達のアンカーの真上の位置に浮いておりました。チェーンを引き上げていくにつれて、どんどん距離が短くなっていきます。海水がきれいなので、海中の様子がよくわかりチェーンがそのヨットの下まで伸びているのがくっきりわかりました。デッキに人が出ていたので、挨拶をしたんですけど・・・普通ならそれで気が付いて自分もエンジンをかけて、ちょっと前に出したり向きを変えて私たちがアンカーを引き上げれるようにしてくれるはずなのですが、彼らのテンダーが、もうSATOMI号のバウのすぐ1メートルぐらい先に迫っても、デッキでくつろいでいました。そこでチェーン引き上げを一旦やめて「あの~うちのアンカーお宅の船の下の位置にあるんで、ちょっと動いてもらえませんかね?」って言って、やっとわかったらしく、息子らしき20代の男性が出てきて、お父さんがモーターをスタートさせたんですね。さらに急にエンジンがスタートしたからか、お母さんらしき女性が驚いた様子で外に出てきました。この動きを見て、あ~この人たちもあまり経験がないのかなって思いました。ある程度経験があれば、自分達がアンカリングした時点で、後ろにいる船との位置関係やアンカーチェーンの方向から「あ、うちの船、あの船のアンカーの上に浮いてるみたい。あれが出る時気をつけとかないと。」って思うはずなんですけどね。実際、私達も後ろにいたキャタマランが前日の午後に出ていく時にすぐにエンジンをかけて移動できるようスタンバイしてました。混雑しているアンカレッジでは、他人のアンカーの上に浮かんじゃうのは普通にあることなんで、それ自体は全く問題ないんですけど。そんなこんなで、主人と二人「さっさとこのエリアからおさらばせねば。」という気分でした。
早速観光船もいた。Knidosに入るようです。
丘の上には灯台がありました。でっかいトルコの国旗が建物に描かれていました。
あれはギリシャのコス島。
エンジン走行なのでキャプテンは暇です。
9時50分ごろ、風の角度的にセーリングできそうな感じになってきました。メインセールに加えてジェノアもちょっと出してエンジンを止めます。今日は無理かなって思ったので、セーリングできるようになり嬉しかった!
コス島がほんのあそこにある。あのあたりのビーチのアンカレッジで強風をやり過ごしたんだよねぇ。トルコ北上の帰り道には、是非ともタウンバースに入って、コス島観光をしたいなぁ。
午前10時の時点でここにいました。Bodrumが真正面だけど、今日はあえてそこには行かず同じ半島の並びのPabuc Bayに向かっております。
最初のうちは5ノット程度しか出なかったんですが、30分もすると風が強まってきて、傾きもきつくなってきました。
その割には波はあまりたっていません。コス島がさえぎってくれているからかな。
スピードはぐんぐんアップで、平均8ノットを保つ快走でした。
11時53分、目的地はすぐそこ。風の角度も60度を超えるようになりヒールも少なくなってきました。
快適セーリングになりキャプテン・ロブはあんなところで何やら思いにふけっている?!
海も穏やかになってきました。
目的地のPabuc Bayが見えるごろには風は後方に回り、入港ギリギリまでセール走行でゆったり進んでいました。
ここをぐるりと回ったところがPabuc Bayですが、すでにもう何本もマストの柱が見えるよ!やっぱりここも混雑してますね。ま、予想はしてたけど。
こんな形をしている湾なんですが、入って行くと、画面左の岸はびっしりとスターン・トゥーで後ろを岩場に結んだ船が並んでいました。この日は午後から夕方にかけて20ノット弱の風予報で、方角的には湾の奥の左斜めから吹いてくるんですね。だから左側の岸の方が、接岸するには安心できます。風に吹かれてもどちらかというと後ろから吹かれるので、岸から離れて前に押し出される形になるから、アンカーへの負担が少ないのです。
左側どころか、右側の岸もかなり詰まっていました。反対に真ん中は空いていたのですが、両側の船のアンカーがどこまで真ん中に近い場所に下ろされているかを推測しないといけないので、どこでも空いている場所に下ろせばいいっていうわけにもいかず、すでに2隻アンカリングしているヨットがいて、その一番後ろの、やや右の岸よりの位置に下ろしました。スターン・トゥーをしている船と船の隙間を狙いさらに、その人たちのアンカーがあろう場所よりも外側に。ここでも最初チェーンを出したい長さを出したら、後ろに見えるブルーの観光船に近づきすぎたので、一旦引き入れました。ちょっと失敗しちゃったのは、アンカーを打ってから後進している時に、けん引していたテンダーのラインを短くしておくのを忘れていて、ラインが船の下側に入ってしまい、ラダーに巻き付いちゃったんです。やば~い!早速キャプテン・ロブ、シュノーケリングマスクをつけて素潜り。15分ぐらい格闘して、やっとテンダーを開放しました。その間に、右側の岸にスターン・トゥーをしていた船が何隻かs出発していきました。そこで、チェーンをもう少し長めに出して、午後1時にやっと落ち着きました。
いきなり素潜りをするはめになった主人は疲れてしまい、しばらく何もしたくないよう。小一時間お昼寝をした後、遅めのランチをしました。入ってきた時にスターン・トゥーをしていた船が何隻も出ていき、午後3時を回っていたので、おそらくもうこの後入ってくる船はいないだろうと判断。私達の前にアンカリングしていた2隻もいなくなっていました。風の向きから時々、SATOMI号の後ろが湾の右側の岸の方にスイングするようになってきたんですね。それを見ていた主人が「今ならスターン・トゥーの練習ができるぞ。」と言い出しました。最初、風向きからして、右側の岸でスターン・トゥーをすると岸の方に押される形となるので、アンカーへの負荷が大きくなり、万が一アンカーが流れた場合、岸にぶつかってしまう危険性があるので、こっち側ではやりたくないなって言っていた主人ですが、気持ちを変えたよう。「今夜は7時には風が収まるみたいだから、練習しよう。ラインは1本でいいから。」となったんです。で、そっから1時間ぐらいうんしょとラインを岸までテンダーで運び、そのラインをウィンチで巻き上げ船の向きを変えていきました。画面右側から吹いているので、スターボード側に1本ラインがあれば大丈夫です。
最終的にウインチに巻き付いてるラインをクリートに付け直さないといけないのですが、物凄いテンションがかかっているので、ウィンチから離した途端、人力ではラインを引っ張り続けることができません。そこで、主人がまっすぐになっているラインのテンションを分散するためのノット(結び方)があるんだ!といって、結び方の本を出して勉強し始めました。
何回かやって、やっと成功。こんな風にT字みたいにして、ブラックのラインをべつのウインチに付けて巻き入れ、その間に黄色のラインの端っこをクリートに結びつけました。でも成功するまで1時間弱かかったけど。
やっと全て完了したのは夕方7時近く。ま始めたのが午後3時すぎだったけどね。途中休憩もしたし。
ずっと外で仕事をしていたので、ドボンと入って涼みました。
正面は左側の岸にずらりんとならぶ船。隙間が空いているように見えますが、後ろのラインを大きく斜めにはっているので、間に入れないのです。
一晩中、こっち側に滞在するのは私達をいれて全部で3隻。問題の隣のでっかいチャーターヨットとはこんなに離れていました。
せっかく2回目の「岩場にラインくくりつけ」をやってみたんですが、夜が更けていっても風の強さが一行に収まる気配がなく、時折吹き付ける横からの突風で船体がちょっと傾くぐらい。正直いって、アンカリングしていた時の方が快適だったんじゃないの?って疑い始めました。主人も、この時間にはとっくに風が収まる、という前提でやったことだったのでちょっと不満気味でした。でも苦労してやったことだしアンカーはしっかり効いてるし、結んでいるラインもかなり太いものなので、思ったより快適ではなくて残念でしたが、ま練習になったよねって話していました。
虫の知らせなんでしょうか、いつもは9時には寝ちゃう私達ですが、夜10時半過ぎに主人が起きだして、キッチンでごそごそなにやらやっていました。私も寝付かれなかったので携帯で動画を観ていたのですが、主人が突然外に出ていき大きな声で「外に出てこい!フェンダーをもってこい!」って叫んでいるではありませんか!最初何を言っているのか聞き取れず、私に話しているのかさえもわからなかったのですが、私を呼んでいるのはわかったので、外に出ていくと・・・・見えた景色が一瞬どういうことかピンとこなかったんです。
だって、SATOMI号のすぐ真横に、でっかいヨットがいるんです。それもどんどん後ろが近づいてくるんですよ。????、主人の「フェンダーはやく!」の声で我に返り、急いでフェンダーを取りにバウのロッカーに走りました。1個つかんで後ろに戻ってきた時には、この船の後ろがSATOMI号に触る寸前。大型船のクルーがSATOMI号を押して衝突を回避しようとしています。その時点で、岸に繋げていた私達の黄色のラインの上に、その船が乗っかってしまいそうなった瞬間、主人が素早く黄色のラインを解き放ちSATOMI号は間一髪、結構なスピードでその船から離れていきました。
何が何だか、もうわけがわからなくなってましたが、主人が「もう大丈夫。俺たちは解き放たれた!」って言ったので、やっと安心。アンカーはしっかり効いたままなので、普通にアンカーしている状態に戻っただけです。その間、この船のクルーは何食わぬ状態で、再度アンカーをし直しまた岸に自分達のラインをつなげる作業をしていました。私達のラインは夜の海に浮かんだまま。浮くラインなんで、そのままにしておくと、その船にまた絡まったりするおそれもあるし、翌朝早くに誰かがこのスペースに入ろうとしたら障害物となるので、面倒でしたが、真っ暗な中、主人はテンダーに乗りこみ、ライン回収に向かったんです。
真っ暗で、さらにまだ風は15から18ノット吹いているんで、テンダーで岩場に乗り付けるのも用意じゃないんですよね。勿論ヘッドライトを付けて主人は行っていますが、落っこちたりしたらどうしよう、とかすごく心配でした。戻るまでずっとデッキで、暗闇に光るライトの行方を見守っていました。やっとラインを回収して戻ってきて、一息ついた時には夜中近く。その間、例のヨットはどうしていたかというと、自分達だけリアンカーしたらさっさと室内に全員戻っていた。まるで何事もなかったかのように。
そもそも、こうなったは、そのヨットのアンカーが風で流れてしまい、繋いでいた後ろのラインに引っ張られて岸に引き寄せられていたのが原因でした。その途中で私達の船にぶつかりそうになっていたんです。しかも、主人が気が付いて大声をあげるまで、その船のクルーは全く気付いていなかったみたいで、主人の叫び声を聞いてやっと外に出てきて状況がわかったみたいなんです。ということは本当にぶつかりそうになるほんの数分前ってこと。アンカーウォッチをしてなかったということです。またはアラームさえも付けていなかったという証拠。予報よりも強い風だったとはいえ、このヨットに乗っていたのは家族一組でその人たちがチャーターしたヨットのようなので、プロのクルーがいるわけですよ。最低でも3人のクルーを私は見ました。私達だってアンカーウォッチのアラームをつけていたっていうのに。
主人が気が付かなったら、あのまま岸にぶつかって座礁してからやっと気が付いたんでしょね。そういう意味では救ってあげたというのに、そのヨットのクルーからはなんのコンタクトもありませんでした。テンダーを出していたので、私達のラインを取りに行ってくれるかと思って期待してましたが、そんな気配もなく、とにかく自分達のすることだけをやったらさっさと何事もなかったかのように静まり返っていたんですよ。こっちはその後もラインを回収に行く作業があったりして大変だったし、間一髪で逃れたけど、本当にぶつかっていたらSATOMI号の破損は物凄いことになっていたはずです。それを考えると身震いしてきて精神的にちょっとショックを受けて涙が出てきました。そんな事態を引き起こしといて、まるで無視・・・・どういう事情があったか知りませんが、非常識極まりない人たちだと判断せざるを終えません。優しい主人は、「相手の事情はわからないから決めつけられない。もしかしたら相手もショックでどうしていいかわからない心境かもしれないし、単なる物凄い非常識者たちかもしれない。実際に話をしてみないとわからないから。」と言いました。
実を言うと、ラインを解き放ちアンカリングした状態になった方が、快適だったんですね。風の強さは相変わらずだったんですが、船体全体に横から風を受けていると、いくら前後が繋がっているとはいえ、あまり気分がいいもんじゃなかったんです。アンカーには絶対的な信頼があるし、前からだけ風に吹かれている状態のほうが、風が弱く感じました。予報どおり15ノットから18ノット程度の風だなぁって感じ。横向きの時は「これって25ノットぐらいいってない?なんなのこの突風。きいてないよ!」って思ってたんです。
だからいいように考えれば、最終的に希望通りのアンカリングで平和な夜を過ごすことができるようになったわけですけど。
翌朝11日、私達が出発準備をしていると、例の船のクルーが外に出ているのが見えました。でも結局誰もこの船からはやってきませんでした。声もかけてこなかった。全く私達の存在を無視し続けていたように見えました。結果的には損害は何もなかったので、私達からコンタクトをする必要はないし、もしとても非常識な人達だったら、関わりたくありません。
後から考えれば、最初は風向きからして嫌だった右側の岸にスターン・トゥーをしなければ何の問題もなかったことなんですが、だからあの船の座礁を防いであげることができました。結果的にはいいことだったかな。何事も練習だ!ってやってみたスターン・トゥーですが、今後は練習のためであっても、自分達よりでっかい船の隣や風向きが気に入らない時は絶対にやらないって誓いました。あ~本当に毎日ハラハラドキドキで心臓に悪いです。
ということで、この記事がアップされる7月12日にはBodrumの港におります。数日間移動せずに壊れた部品を調達したり観光したりして、骨休みをする予定です。
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